栽培知識まとめ~ワイン用ブドウ~

はじめに

旧ブログでまとめていたブドウの栽培知識に関するメモを集約。参考図書は「果樹園芸大百科3 ブドウ」と「アトラス・オブ・ワイン」。

ワイン専用品種の栽培管理の要点

以下は「果樹園芸大百科3 ブドウ」を要約。

ブドウの原産地は乾燥したやせ地であるが、
日本のような降水量の多い肥沃地で栽培すると、新梢は徒長し、
病気も多く発生しがちである。

さらに成熟期の秋雨により果粒が裂果するので、
栽培は難しいとされている、とのこと。

ポイントを3つまとめる。

土づくり

圃場は南面の緩やかな傾斜地で、
砂壌土から壌土の場所を選び、
排水溝を設置して水はけを良好にする。
土壌診断に基づき、有機質肥料を主体の施肥をして、
微量要素欠乏をなくすようにする。

樹づくり

幼木の育成は、新梢の断面が円形になるようにする。
節間長が長くならないよう健全に育成させる。
成木は果実がベレーゾン期になる頃、
新梢伸長が止まるように肥培管理をして、新梢の登熟をよくする。

果実づくり

目的は健全で品質の良いブドウの生産である。
特に耐病性が弱いから、病害虫防除暦を基準にして、
天候や栽培環境の変化を予察し、
病気の予防と防除対策を実施する。

垣根栽培の場合は1haあたり10t~12tを標準とし、
1樹あたりの基準生産量を決めて、
結果量の多い樹はベレーゾン直前に摘房する。
成熟期には果房周辺を摘葉して、陽当たりと通風を良くし、
完熟させて収穫する。

ワイン用ブドウ品種について

シャルドネ

ピノ・ノワールとグエ・ブランを親に持つ。
樹勢は中位でやや早生品種であるから、
萌芽は比較的早いため、晩霜による被害に見舞われることもある。
果房はコンパクトで、小岐肩のある円筒形で約170g。
1新梢に2房着生する。完熟すると果皮は麦わら色になる。
日照を好み多雨を嫌うため、
成熟期に降雨が続くと裂果して腐敗する。
病気はベト病、晩腐病、灰色カビ病に弱い。

ソーヴィニョン・ブラン

樹勢は中位の中生品種である。
果房はコンパクトな円錐形で約150g、1新梢に2~3房着生する。
完熟すると果皮は黄緑色になる。

リースリング

粘板岩や頁岩との相性がよい。
樹勢は中位で、中生品種であるが、萌芽、開花ともにやや遅い。
果房はコンパクトで小さな岐肩のある円筒形で、
約140gの小果房である。
1新梢に2房着生する。完熟すると果皮は黄緑色になる。
モノテルペンという成分由来の蜂蜜香、白い花の香り、
TDNという成分由来の灯油香などが特徴。

カベルネ・ソーヴィニョン

カベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配で誕生。
樹勢はやや旺盛であり、
萌芽、開花、成熟ともに遅い晩生品種であるから、
寒冷地には不適である。
果房はコンパクトで、小岐肩のある円筒形で約170g、
1新梢に2房着生する。完熟すると果皮は紫黒色になる。

メルロ

カベルネ・フランを親に持つ。
樹勢は中位の中生品種である。
果房はややコンパクトな多岐肩円錐形で、約180g、
1新梢に2房着生する。
完熟すると果皮は紫黒色になる。

ピノ・ノワール

石灰質土壌との相性が良いことで知られる。
果実の品質が、天候、土壌などの環境に大きく左右される。
病気に弱く、特にベト病、灰色カビ病にはかかりやすい。
栽培適地は気温が低めで、昼夜の温度格差があり、
日照の豊かな排水の良い緩やかな傾斜地がよい。

樹勢は中位で萌芽、開花、成熟の早い早生品種である。
果房はコンパクト(小ぶり)で、密着した房をつける。
多岐肩円錐形で約140g、1新梢に2房着生する。
完熟すると果皮は黒紫色になる。

生理障害について

花振るい

花振るいの要因
品種特性によって起こる場合と、
前年秋の炭水化物が少ない(台風や病虫害などで葉が落ちるなど)、
窒素・カリウム過多などが挙げられる。

対策としては、個別事例が挙げられていた。
① 施肥はなりはじめまで全くやらない。
② 樹を広げる
③ 特にひどい樹は断根(1/2、1/3断根)
④ 1~2芽剪定を3~4芽剪定
→前年花振るいをした樹勢の強い樹は、3~4芽残し、
 新梢が伸び始め、いちばん上の芽が15cmになったところで、これをかきとる。

上から2番目が15cmになったら、これもかきとる。
このように上から次々と芽かきを行い、一番下の芽を伸ばす。
この芽は弱いので、樹勢が落ちて花振るいしない。
その後、6月に入り、日の照っているときに
不必要になった残枝を切り取る(日中だと樹液が出ない)。
この切り返しによって花振るいをふせぐことができた。

葉面積について

「ブドウの純生産量は葉面積指数に比例し、
 果実への分配率は新梢の長さに反比例するので、
 適正な収量は平均新梢長と密度によって規定される」という理論を、
高橋国昭氏が提唱しているので、これも少し調べてみたいな。

冷涼地における栽培

「アトラス・オブ・ワイン」より。
ドイツのラインガウのガイゼンハイムにある
ぶどう栽培・ワイン醸造に関する調査研究センターの
調査報告の要約が書かれていて、非常に勉強になった。

特にドイツは北海道に近い寒冷な気候と言うこともあって、
参考にできる部分が多いと感じた。

以下、内容を要約。

畝の切り方

ラインガウでは最良の畑では西向き斜面にある。
東風を防ぐため、斜面の上に防風林があり、南北に畝が切られている。

この研究結果によると、南北の畝は地温を高め、
東西の畝は過熟を防ぐとなっている。

以下、引用。
—————————————————————–
曇りがちの年にもラインガウのぶどうの樹が
同化作用を行うのに十分な日光を受けていることが立証された。
その場合、問題になるのは光ではなく、熱なのである。
気温が主要な要因である。

ぶどうの樹の開花は、
春になり大気が地面を暖め始めるとすぐに訪れ、
秋になりその逆の瞬間がくると葉の色づきが触発される。

この植物の生長や諸々の機能は、
10度以上の大地の温度と結びついている。
同化と蒸散、
つまり水分と養分を大地から吸い上げ、葉で呼吸する課程は、
ある点にまで気温が上昇したときに、より効果的に進行する。

しかし28度に達すると、水分の蒸散が同化を上回ってしまい、
たとえ湿気のあるところにあっても、
大地から吸い上げることができる以上の物を根から吸い上げようとし、
成長(もちろん成熟も)はゆっくりとなり止まってしまう。

ぶどうの樹にとっての最適温度は25度~28度の間となる。

(中略)

つまり、ラインガウでは長時間25度~28度(事実上20度以上)に
達することはほとんどない。
だから、ここの畑は自ら暖まり、
その暖かさを保持する資質を持っていることが
品質にとってきわめて重要な要因となる。

そこで、ブドウ畑のミクロクリマを作り出すには
何よりも風を防がなければならず、
ぶどうの樹が互いが風を遮るようにし、
生け垣や丘陵でブドウ畑を保護するのである。

涼しい北方のブドウ樹にとって、
互いが風よけの働きをすることが不可欠である。

(中略)

ホルネイ博士は最後に、寒気が優勢な北の方のブドウ畑が、
より暖かい状態になる最良の方法を示している。

まず、いちばん温度の高いときの
卓越風(ラインガウでは東風)の方向と直角に畝を作ること。

つまり南北を結ぶ線で畝を作れば、
貴重な微気候を吹き飛ばされずにすむ。

こうすることの別の利点は、南北列の小道が日中の太陽で暖められ、
下部にある葉や実が上部の葉によって日光から守られるという
理想的な配置ができあがる。

—————————————————————–

こういう本格的な調査は栽培家にとって非常に重要。
日本でも産学連携がもっと進んでいくと良いんだけど。

人気ブログランキングに参加しています。
北海道のワインを全国に広めるため、クリックをお願いします!

投稿者: chatnoir2010

北海道初のワイン用ブドウの苗木屋を目指して奮闘中。2019年は新規就農研修、最後の年。いよいよスタート間近。がんばります!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です