ワインの知識〜ワインの香り〜

ブログ記事の引っ越し。

果実酒研究会で学んだことと、
北海道ワインアカデミーの内容を合わせて、
ここでまとめておきます。

オフ・フレーバーの種類と僕自身の感じ方
①酢酸エチル
・ワイン中の含有量30~150mg/L(30~50ppm)
・やや華やかな接着剤(セメダイン等)のような匂い
・酢酸菌などが生成する酢酸とエタノールが
 非酵素的に反応して生成したり、
 細菌などが直接生成する場合がある。
→除光液とか殺菌用のアルコールのにおいがする。
 僕は「アルコール臭」と書いていたが、
 それがいわゆる「酢エチ臭」というやつだったんだな。

②酢酸・プロピオン酸・酪酸
・ワイン中の含有量 酢酸 ~500mg/L(~500ppm)
・揮発酸の匂い
・酵母による生成はわずかで、細菌による生成が多い。
→酢酸…まさにお酢。
→プロピオン酸…劣化ワインに多い。乳酸飲料など。
           一般的に「ヨーグルト」と言われるジアセチルより、
           僕はこいつにヨーグルトを感じるな。
→酪酸…これはくさい。足の指の間の垢のような匂い。
      汗や蒸れた靴下のような感じ。

上記、①と②が「酸臭」と呼ばれる。

③アセトアルデヒド
・ワイン中の含有量 ~100mg(シェリーは200mg)/L
・青臭い香り、アルデヒド臭、酸化臭の一種。
・発酵初期の代謝副産物の一つで、発酵終了時に減少する。
 亜硫酸と反応するか、またはアニジンとの重合で減少する。
 シェリーなどの産膜酵母により多く生成する。
→揮発性の青い草の匂い。若草のような感じ。
  今回嗅いだ濃度くらいだと、僕は嫌いではない香り。

④ジアセチル
・ワイン中の含有量 0~5mg/L(閾値は1.5mg/L)
・チーズ、発酵バター、ヨーグルト様・トースト様の匂い。
・野生酵母や乳酸菌による生成。
 適度な場合は香味に厚みを与えるが、
 過剰な場合は欠点となるので、
 健全なワインとブレンドするなどの処理が必要。
→今回の濃度では僕は飲めないレベルの不快感。
  強く腐敗したような匂いがする。

⑤硫化水素
・ワイン中の含有量 数10μg(マイクログラム)/L
 ワイン中の閾値 50~80μg
・腐乱臭、温泉の匂い
・発生原因は大きく4つ。
 1.果汁中に十分な窒素分がない(YANが低い)
 2.果汁中に高濃度の亜硫酸塩を含む
 3.果汁中に高濃度の硫黄元素を含む
 4.密栓(スクリューキャップ)の採用による、
  酸化還元電位の低下
→本当に腐った卵の匂い。危険を感じるほどの腐敗感。

⑥4-エチルグアヤコール
・ワイン中の含有量 ~400μg/L、閾値100μg/L
・フェノレ(spicy)薬品的、燻製様の匂い
 「赤ワインのフェノレ」とも言われる。
 (白ワインは4-ビニルグアヤコール)
・ブレタノマイセスにより、樽などの貯蔵中に増加。
 対策:設備の殺菌、ろ過、適切な亜硫酸管理。
→病院に入ったときの匂いを割と明確に感じる。
 薬品がたくさんあるときの匂い。予防接種の雰囲気。
 僕は「薬臭い」と表現していたな。

⑦ジメチルスルフィド(DMS)
・ワイン中の含有量 ~数100μg/L(閾値25~160μg/L)
・とうもろこしのような香り。熟成香にも寄与。
・ワイン貯蔵中にジメチルスルフォキシドから生じる。
 メチオニンの光学的分解により発生する場合もある。
→あまり甘く無さそうなスカスカした感じのとうもろこしの匂い。
  トウモロコシを薄めたような、抜けたような感じの香り。
  硫黄っぽさは僕はあまり感じない。

参考:エタンチオール
・ワイン中の含有量 ~50μg/L、閾値1.1μg/L
・ガス、タマネギのような匂い。
 飛びやすい香りなので、
 グラスをスワリングすればなくなることが多い。
→煮込み過ぎたタマネギのような香り。
 くすんだ印象、もやっとした感じ。

⑧2、4、6-トリクロロアニソール(TCA)
・ワイン中の含有量 0~極めて微量 認知閾値2μg/L
・カビ臭、または不良コルクの匂い
・木製機器などに含まれるトリクロロフェノール(TCP)が
 カビなどによりTCAに変換し、製品に移行する。
 また、カビ臭物質が存在する貯蔵室や
 容器から移行する場合もある。
 活性炭で除去できるが、混入させないことが重要。
→検知しづらい香り。押し入れの中のカビ臭い雰囲気。

⑨メトキシピラジン
・ワイン中の含有量 極めて微量 
 認知閾値赤ワインで15μg/L
・ピーマンのような匂い。
 多すぎると未熟臭、くき臭、ピラジン臭などと指摘される。
・主に果皮に含まれ、成熟と共に減少する。
 果実の選別が適切にされずに未熟果が混入することが原因。
→まさにピーマン。これはかなりピーマンです。
 新鮮なピーマンを切ったときの匂い。青くて若い感じ。
 
⑩4-エチルフェノール
・ワイン中の含有量 ~6500μg/L 閾値600μg/L
・フェノレ(brett)、動物的な臭い、ブレタノ臭
・ブレタノマイセスにより、樽などの貯蔵中に増加。
 対策:設備の殺菌、ろ過、適切な亜硫酸管理。
→屋外にある動物園に近づいた時の匂い。
  ウサギ園とか、小動物がたくさんいて、
  そのフンもある場所のような感じ。

⑪2-ヘキセン-1-オール
・青葉のような香り
・ブドウの果実中の不飽和脂肪酸の酵素分解により生成。
 発酵過程において、酵母の作用により、
 香りの弱い1-ヘキサノールに変換される場合もある。
→雨のあとの庭のような香り。植物がたくさんあるばしょの匂い。
  これはオフ・フレーバーととるかどうか悩ましい。良い香り。

この後はオフ・フレーバーというよりも、
ワインに特性を与えるフレーバーです。

⑫リナロール
・ワイン中の含有量 ~600μg/L
・柑橘系の香り、モノテルペンアルコールの一種
・おもにブドウ中の配糖体が酵母のグリコシターゼにより
 遊離することにより生成する。
→清涼剤の香り、さわやか、すっきり感、シトラスの香り。

*モノテルペンアルコール
・リナロール、ネロール、ゲラニオール、シトロネロールといった
 成分の総称。
・マスカット系品種に多く含まれ、品種により多寡の差が大きい。
→ミュスカデとかゲヴェルツトラミネールなどには多く含まれる。

⑬3-メルカプト-1-ヘキサノール
・グレープフルーツのような香り。チオールの一種。
 ソーヴィニヨン・ブランなどの特徴香。
 高濃度では汗臭や猫臭と表現される場合がある。
・システイン複合体を前駆体が酵母由来の酵素反応により生成。
 銅と結合しやすい。
→少し離してかぐと薄いグレープフルーツの香り。
 鼻を近づけるとグワっとくる強い香り。汗っぽい。
 部室のような匂い。

⑭ゲラニオール
・ワイン中の含有量 ~80μg/L
・バラのような香り、モノテルペンアルコールの一種。
・おもにブドウ中の配糖体が酵母のグリコシターゼにより
 遊離することにより生成する。
→花の香り。特に大輪の花。芳香剤のような香り。

⑮メチルアンスラニレート(アントラニル酸メチル)
・グレープジュースのような香り。
 フォクシーフレーバーの一種。
・主にナイヤガラなどのアメリカ系ぶどう品種(ラブラスカ系)に起因。
→わざとらしい香り。お菓子のブドウみたい。ファンタっぽい。

⑯バニリン
・バニラの香り。
・樽熟成したワイン中に多く、樽中のリグニン分解物。
→まさにバニラ。これは間違えない。

⑰ベンズアルデヒド
・アーモンド、梅のような香り。
・ベンジルアルコールの酸化や酵母の代謝による生成。
 ガメイからも検出される。
→梅干しっぽい。アンズみたい。杏仁豆腐に一番近い。

この後、香料会社の発売している香りのサンプルを嗅ぐ。
→30種類以上のサンプルをかいでいると、本当に分からない。
正解数は11問にしかならなかった笑

匂いを記憶するのは難しい。
これらの匂いを感じる度に復習していかないとな。

参考:
・北海道ワインアカデミー2018年8月「ワインのオフ・フレーバーについて」
札幌国税局鑑定官室

・2019年1月果実酒研究会
札幌国税局鑑定官室

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