農業読本~捨てないパン屋~

ちょうどフードロス問題もツイッターなどで話題になり、
いろいろ考えていたところで面白い本と出会う。

農業での野菜の廃棄は難しい問題。

値崩れ起こした作物は、取れば取るほど赤字。
だから土に戻す、というのは、
経営的に非の打ち所の無い論理。

でも、なーんかしっくりこない。
それが僕の実感。

で、手に取ったのがこの本。

「ブーランジェリー・ドリアン」というパン屋さんの話。

モンゴル人の友人がホームステイに来て、
「余ったパンを捨てるのはおかしい」と言われ、
「配って歩く時間もないし」「日本じゃしょうがないんだよ」
と声を荒げたというエピソードから始まる。

そこから余ったパンを捨てないために菓子パンをやめ、
食パンをやめ、バゲットをやめ…というようにして、
ハード系のパンだけを残していったとのこと。

北海道の小麦を使い始めた時に、
「売れ残ったら送ってください。買いますから」
というエピソードもあった。

そうやって昔ながらの固いパンを作り、
定期購入や売れ残ったときに販売してくれる店舗と出会い、
今ではパンを捨てなくても良いパン屋になったとのこと。

さらにバリエーションを絞ったことで働く時間も絞られ、
長時間働かなくてもよい生活を送っていると。

もちろんパン屋さんの話なので発行の話も出てくる。
イーストを使わず、乳酸菌と酵母菌による発酵。

イーストを使うと「わかりやすい華やかなおいしさ」、
乳酸菌を効かせると、甘みもなくかなりドライ。
でもそれは、「体に沁みるおいしさ」。

単純にすでにより分解されているので、
身体が消化するのに楽。
そしてそういう食べ物はうまみ成分が多くなる、とのこと。

なるほどな。いわゆる自然な造りのワインが、
美味しいか美味しくないか、
なかなか議論が先に進まないのはそういうことかもしれない。

毎日、焼肉や寿司を食べたい、という年頃の人もいれば、
そういうのはいいや、煮物と味噌汁に豆腐があると良いな、
という段階の人では「美味しさ」の定義が全然違うんだ。

うーん。
これはいろいろ考えさせられる本だ。

今回は図書館で借りて読んだけど、
買って手元に置いておこう。

素晴らしい1冊。


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