去年研修を受けた、道央農業振興公社の仲介で、
中央農業試験場にて、ブドウの茎頂培養を学んできました。
茎頂(生長点)を培養すると、
その生長速度にウイルスが付いていけないため、
ウイルス・フリーの苗が生まれるという技術です。
ウイルスに羅漢していない苗を作るためには、
この茎頂培養か、もしくは熱処理法が一般的と言う。
![FullSizeRender](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/belgrave/imgs/8/f/8ff021fd-s.jpg?w=1262)
苗木屋をやるなら、当然ウイルスに感染していない苗を売りたいので、
この技術はぜひ習得したいところ。
今回、会って話した感触で言うと、
この中央農試そのものがウイルスフリー苗を作ってくれる、
と言う可能性も残されているようでしたが、
(そのくらい北海道のワイン産業は安全な苗木を求めている…)
ともあれ、時間が空いたら来ていいよ、
と言われたので、足を運んで培養を続けたいところ。
さて、茎頂培養のやり方。
①枝の先端(萌芽した芽)を切り取って、消毒・滅菌する。
②茎頂部をメスで露出し、0.3mm~0.5mm程度の大きさで、
茎頂部のみを摘出する。
これがなかなかに難しそう…。
![FullSizeRender](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/belgrave/imgs/c/1/c1b406cb-s.jpg?w=1262)
ピンセットで指している先が茎頂部ですが、
正直、顕微鏡をのぞいていないと、裸眼では判別できない。
玉ねぎの皮を剥くように、
葉になる部分や花になる部分を除いていくには、
やはり数十回の経験が要りそうですね。
で、取り出せたら。
③培地に埋め込まないように置床する。
④培養室で25℃~27℃の温度、
2000~3000lxの光量で16時間の証明で培養。
⑤2か月後に養分補充のため移植。
⑥4か月後に発根培地に移植。
⑦鉢上げし、25℃~27℃、湿度70%~80%、
遮光50%で管理。
⑧2~3週間後に温室へ移す。
という流れになるようです。
技術自体は高校生でもできることらしいですが、
慣れるには経験が必要そう。
なので、帰ってから家でもやってみました。
まずは試験管の中で使う培地の作り方から調べる。
入門書によると、「ハイポネックス培地」というものが、
最も汎用性があって初心者向きとのこと。
材料はシンプルで、
①寒天…10グラム/1リットル
②ショ糖…20グラム/1リットル
③ハイポネックス…3グラム/1リットル
以上ですね。
ハイポネックスというのは家庭園芸用の粉末肥料。
液肥バージョンも売ってたんですが、
安定しない(すごくよく育ったり、枯死したりする振れ幅が大きい)
ということで、粉末の方を選びました。
![FullSizeRender](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/belgrave/imgs/c/e/ce69b9f7-s.jpg?w=1262)
サンワドーで買ってきた材料群。
ピンセット2種類とスラントナイフ、そしてスティックタイプのハイポネックス。
![IMG_5466](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/belgrave/imgs/9/4/94d78eb0-s.jpg?w=1262)
で、知り合いから頂いてきた培地用の寒天と、
ショ糖としてスクロース(サッカロース)。
寒天は家庭用のものでもいけるような気がするし、
ショ糖だって普通の砂糖でも大丈夫な気がする。
とはいえ、初めての挑戦なので、一応実験用のものを。
![IMG_5465](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/belgrave/imgs/e/1/e1f41112-s.jpg?w=1262)
これまた同じ知り合いから頂いた試験管(ラック付)。
200本あるので、自家用としていろいろ実験するには十分かな。
さて、培地の作り方。
まずは全体の半分の量の蒸留水を準備。
(蒸留水は普及センターでタダでもらえるらしいけど、
今回はとりあえず水道水で)
第1回は1リットルで行くので、500ミリリットルの水を準備。
そこにハイポネックス3グラムと、ショ糖を20グラムを溶かす。
その後、寒天10グラムを入れて湯煎。
10分ほど温めてから試験管へ。
これで培地は完成…と思いきや。
なんと、寒天がいつまでも固まらず、サラサラしたまま。
そういえばレアチーズケーキでも同じような失敗をしたような。。。
奥さんのアドバイスをもとに、お菓子づくりの手順で、
見ずにショ糖を加えて沸騰させて、
火を止めて冷ましつつ寒天を加える。
良くかき混ぜて、ハイポネックスを入れた容器に注ぎ、
さらにかきまぜて試験管へ。
今回は料理用の鍋で寒天と糖を溶かして、
実験専用の容器にのみハイポネックスを入れました。
(さすがに粉末肥料は鍋には入れられないので)
ちなみに、試験管50本に対して、
水483グラム、寒天5グラム、ショ糖10グラム、
ハイポネックス2グラムの、全体500グラムで、
ぴったりという感じでした。
ふー。これで培地は完成。
次はいよいよブドウの成長点の切り取りですね。
試験管は知り合いから頂いて。
今回は50本のワンセットを1ラック分。
![IMG_5465](https://i0.wp.com/livedoor.blogimg.jp/belgrave/imgs/e/1/e1f41112-s.jpg?w=1262)
培地も何とか完成して、今回は茎頂の切り出し。
本当は電子顕微鏡を使って0.03ミリくらいに切り取るんですが、
あいにく使わせてもらえる顕微鏡がなく…。
仕方ないので肉眼で(!)切りました。
庭のブドウの芽かきしたものを使用。
いやー、3ミリくらいのデカさになった。
しかも本当に成長点のみ切り出せているか、よく見えない…。
とりあえず今回は余った培地に、バジルの種なども置いて、
培地の有効性を見てみます。
試験管はあと3ラック150本あるので、つぎはどこかで顕微鏡を使わせてもらって、リトライしたいな。
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