これも恵庭の図書館で借りてきた本。
筆者とそれぞれの産地のワインとの出会いが、
小説のようなタッチで描かれる。
チャプターは8つ。
① シャトー・マルゴー
② ムスカデ
③ ペトリュス
④ シャンパーニュ
⑤ 日本料理とワイン
⑥ モンラシェ
⑦ アルザス
⑧ ボルドー
たとえば、ムスカデ(ミュスカデ)との出会い。
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人いきれのする画廊を出る。
ひどくのどが渇いた。
どこかで軽く一杯やろうと歩きかけて、
ふとムスカデの香りを思い出した。
モンパルナスの魚料理店「ル・デュック」へきた。
カウンターにおさまるとハウスワインのムスカデと
「スズキの薄造り」「サンジャック風スズキ」を注文した。
冷えひえのムスカデが運ばれてきた。
刺身がきて、酒と肴がそろった。
ムスカデは緑のワインといわれる。
また真珠のワインともいう。
記憶にあったより若い緑だ。
気泡が一つ、グラスの底から上がってきた。
これを真珠と見るのだろうか。
不思議なワインだ。
ムスカデは、どこのレストランにも置いてある中級の白ワインだが、
このムスカデは特殊らしい。
名酒ではないが、この料理にぴったりだ。
きりっとしまった口当たりの後、
爽快な香りが口中を洗い、
魚の油もハーブや香辛料の匂いも拭い去ってゆく。
ここの主人の好みなのだろうが、
どうやってこのムスカデを見つけたのか。
このワインは若い。ドライだ。
果物のエッセンスそのものだ。
酸味が少なくアルコール度も決して高くはない。
いいムスカデのもつ資質を全部揃えている。
その上、ひどく細身の“狭い”ワインだ。
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テンポのよい文と詩的な感じで、さくさく読める。
「神の雫」という漫画以来の、
久々に読んでいて、そのワインが飲みたくなる本だった。
ちなみに、ここに引用したのはロワールのルイ・メテロの作品。
思わず楽天で探してしまった(笑)
さらに、知識事項も結構充実している。
それもこの後、まとめていきます~。
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