北海道ワインアカデミー公開講座~ワイングラス~

アカデミー卒業生も含めた公開講座がオンラインであったので、
zoomで視聴。
内容を要約してまとめてみました。

僕の理解なので、間違いなどは聞き取りミスだと思われます。
何かあれば指摘していただければ、と思います。

リーデルのブランドアンバサダー、庄司大輔さんの講義。

はじめに

今日はワイングラスの話です。
グラスの形によって、
「ワインのキャラクター」を引き立てることができる。
それを実感として体験していただきたい。

最近ではコカ・コーラや緑茶などでも、
「どう飲んでほしいか」をもとに、
グラスを作成したり、選んだりし始めている。

北海道のワインの魅力もグラスの形によって伝わりやすさが変わる。
なぜピノ・ノワールのグラスとカベルネのグラスがあるのか。
それを感じ取っていただければ、と思う。

リーデルの店舗に立っていると、
「万能系グラスはどれですか?」といらっしゃるお客様も多い。

リーデルの理念的に本来「万能型グラス」は存在しないが、
強いて言えばリースリング・グラスなどが守備範囲が広い。
辛口白をベースにして、かなりの品種をカバーできる。
家にグラスが1つしかない、という飲み手の方も多い。
そういう方は、赤ワインもそのグラスで飲んでいる。
そうしたとき、自分の造ったワインを、
お客さんがどう感じているのか。
それを経験してほしい。

また、もう少しワインを飲みなれている人なら、
白用、赤用、泡はフルートグラスで、となるだろう。
そうするとどうなるのか、いろいろ気づきがあると思う。

自分が造ったワインを飲んでもらって、
「思ったより酸っぱかった」などという評価が来れば、
大多数の人はワインに原因を求めるのだろうと思う。
しかしグラスによっても酸の感じ方は大きく変わる。
一つの視点として今日の体験を活かしていただきたい。

グラスの選び方の基本的なファクターは2つ。

ワインを口に含むと、最初に舌に乗り、しばらく止まる。
なにも止まらずに行くと生物学的に問題がある。
一瞬止まり、味を確認して飲みこむようなイメージ。
その後に広がるのかどうかが大切。

なのでグラスは「舌のどこからあたるのか」と、
「その後に広がるのかどうか」が大事。
グラス選びの時の大きなファクター。

あともうひとつプラスチック・カップも用意しました。
もはやワインの飲み手の経験が豊富な皆さんにとって、
ワイングラスが卵型が当然という気持ちになってる。

しかしラッパ型との飲み比べは経験はどうか。
これで足の印象が変わるんです、
というとイメージしづらいかもしれない。

分析的なテイスティングでなく、
すっと飲んでフローを確認してほしい。

口の中で回していただいても足の印象の変化は確実に起こる。
グラスの形によって、
口中で最初にワインの味わいを感じる場所が変わってくる。
それを比べてほしい。

リースリング・グラス

パフォーマンス・シリーズのリースリング用のグラスで、
北海道のニキヒルズさんのケルナー(はつゆき)を試飲。
このグラスは内側だけに12本のグラデーションが入れてある。
内側の表面積を広げるための工夫。
正式な品番は「6884/15番」。
6884がシリーズの品番、
スラッシュの後がリースリングを表す15番。

まずは香りを取るところから。
皆さんスワリングされますよね?
なぜスワリングをするんでしょうか?

ひとつはワインと空気を触れ合わせること。
もうひとつはグラスの内側に最大限ワインの膜を広げること。
これが香りを最大に楽しむ方法。
腕のいいソムリエなら、サーヴの時このひと手間は惜しまない。
グラスに膜を作ってサーヴする。

逆にプラスチック・カップに移して香りをとってみてください。
まったく感じ取れないですよね?
これなら「日本のワインはやっぱり香りが薄いよね」
となってしまっても不思議ではない感じ。
これはワインに詳しいかどうかではない。
人体の嗅覚の仕組み上、仕方のないこと。

そして、空になったリースリング・グラスの香りを取ってください。
薄い膜がはって急激に温度も上がり、
最も甘く香りを感じる状態になっているはず。
印象はプラスチックカップと全然違うはずです。
驚くほどに違う。

次にワインを味わう。
舌先から、奥歯に広がらず、真ん中に通っていく。
北海道の白特有の酸味のイメージ。
ケルナーの果実を感じる甘酢っぱさ、バランス

逆にプラスチックカップで味わってみてください。
この状態でテイスティングコメント書くならどうですか?
酸がトゲがありアルコールの刺激の強さが度数以上に感じ、
ややエグみを感じる、しゃばしゃば、と書かれてもおかしくない。
もはや別のワインというくらい、味わいが違いますよね。

余談になるが、スパークリングの楽しみ方もこれに似る。

スパークリング・ワインは泡を楽しむから、
泡の立ち上りが長く見れるよう、
半分以下にサーヴされることはない。
7割ほど注いで泡の流れる絵を楽しむ。

雰囲気を楽しむのも良いが、
その状態で口に含もうとすると、
おちょこで日本酒を飲むときの姿勢、
顔が下向きになると、舌は舌先が下がる。
そこにワインが入ってくるので、舌の中央に当たる。

一方で、たとえばこのリースリング・グラスで泡を飲む。
卵型だと一番膨らむところから1~2cmほど舌にサーヴされる。
それをスワリングすると、一番良いところに膜ができる。

そして顔を上げて飲んでもらえる。
すると舌先上がりになり、香りが広がる。
それを口に入れると舌の奥に最初に当たる。
するとシャンパーニュなんかでも
果実のふくよかさを強く感じ、
それがあるからこそ酸がキレイに感じる。
泡もきめ細かく感じる。

シャルドネ・グラス

パフォーマンス・シリーズのシャルドネ。

これで山崎ワイナリーのシャルドネを試飲。

シャルドネグラスは2パターンあるシリーズが多い。
いわゆるシャブリタイプと呼ばれる、
グラスの口が大きいタイプを使います。
グラスの口径が大きいと、唇も広がる。

流速も遅く入ってくるので、
じっくり楽しんでほしい場合にこのグラス。

香りを広げるというグラスではなく、
ワインの持つ香りをふんわりとときほぐすタイプ。
口を横に広がるような感じ方をする。
ボリューム感、厚みを感じやすい。

もちろん、山崎ワイナリーのシャルドネを、
リースリング・グラスで楽しむのもありだろう。

そうしてみると、このワインの印象も大きく変わる。
リースリング・グラスだとシャープで酸の印象が残る。
それが良いのか、シャルドネ・グラスで、
ふくよかな果実味を感じる方が良いのか。

これを決めるのは作り手の方針や、
飲み手の好みによって決まってくる。

ピノ ノワール・グラス

6884/67

最も大きなタイプのグラス。

ぎりぎりまで注げば720ml入るので、
日本酒のボトルなら一本まるまる入る。
通常のサーヴ量なら、グラスを横に寝かせてもこぼれない。

一方で赤ワイン用として最も売れているグラスは、
ボルドータイプのグラス(カベルネ・メルロータイプ)。
これだともちろん横に寝かせると当然こぼれる。

このボルドーグラスで飲むと、
液体が広がりやすいので、酸味は強く感じやすい。
もし北海道のピノ・ノワールを飲んで酸が強いと感じられたら、
そのお客様が酸に慣れていらっしゃらないか、
もしくはグラスに要因があって、
造り手の思惑よりも酸を強く感じている可能性もある。

終わりに

今回、グラスによって香や味わいの変化も体験してもらえたと思う。
自分のワインがどのようなグラスでお客様の口に運ばれるのか、
ということもワインのマーケティング上、とても大切。

ぜひ、ご自分のワインを「こんなグラスで飲んでほしい」
というところまで情報発信していてもらえれば、と思います。

質疑応答~グラスのお手入れ~

お手入れで一番大事なのは、
「ウォーター・スポットを防ぐ」ことと「ねじらない」こと。

水道水の水滴が乾くとミネラル分の白い点が付き、これが良くない。
「今日は飲みすぎて洗うのはちょっと…」という場合は、
たとえ赤ワインでも飲み残しをそのまま残す方が良い。
水で流して置いておく、というのは避ける。
洗うなら水滴をふき取ることろまでやる。

また、洗っているときに割ってしまうのは、
ねじれの力を加えてしまった場合が大きい。

なので、ステムなどをもって、飲み口を洗わない方が良い。
(プロはそうやって洗うが、それは扱いに慣れているから)
ブランデーを飲むようにボウル部分をもって洗う。

また、少量の洗剤でグラスを縦に洗うのも良い。
間違ってもねじる力が働かないし、
自然にグラス内に入っていく泡を流すくらいで充分。

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以上、非常に面白いお話で、2時間があっと言う間でした。
グラスも奥が深い。
グラス沼にはまっていきそうで怖いな笑

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