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「ブドウ だれでもできる交配品種づくり」神奈川県藤沢市 青木一直さん
交配のやり方のポイントは、
母品種のめしべに、確実に父品種の花粉だけを受粉させることである。
母品種自体の花粉はもちろん、
他の花からの花粉もつけないようにすることが必要だ。
そのために、母品種の開花直前の蕾から雄しべ(葯)を取り除いてしまい、
父品種の花粉を受粉して、紙袋をかける。
これがやり方の基本だが、以下のことに注意すると確率が高まる。
①母品種は三分咲きのときが適期
ブドウの花は房の上の方から咲いてくるが、
上から三分の一くらいまで咲いた時が適期である。
花の咲いている上の方の枝梗は全て切り落とし、
また房の長いものは下を切り詰めて、
枝梗を4~6段に整理する。
②朝8時くらいまでに交配
交配作業中に他の花から花粉が飛んでくるのを避けるためには、
朝の湿度の高いうちに行った方が良い。
また晴天だと、蕾のキャップ(花冠)をはずしたとき、
雄しべがしおれやすいため、朝のうちに行うことが望ましい。
③キャップ(花冠)をはずし、雄しべを除く作業のポイント
蕾の雄しべを除くには、キャップ(花冠)を外して、
雄しべ・雌しべを露出させなければならない。
蕾は非常に小さいから、キャップ外しは慎重を要する作業だ。
そこで図のように、キャップの下端の片隅を、
中の脂肪を挟まないように注意して、ピンセットでつまむ。
まず片側をつまみ、次にその反対側をつまんで、
ピンセットの先を少しひねりずらすようにするとキャップが取れる。
次にすべての雄しべを、ピンセットの先でつまんで取り除く。
(先端の葯だけ取っても良い)
④父品種の花粉を蕾で乾燥保存
主に前年取った花粉を使用。
三分咲きのことの房を取り、
房の軸だけはずしてつぼみのまま紙袋に入れる。
この紙袋を生石灰(缶入り)の中に埋め込んで、
カラカラに乾燥させる。
こうしておくと3年は受粉能力がある。
交配日に生石灰の中から取り出し、
乾いた蕾を指先でコすりつぶして花粉を出し、
凡天(授粉用羽毛棒)につけて授粉する。
ただちに紙袋をかけるが、
同じ房に3回(3日連続)交配すると実止まりが良くなる。
⑤交配後10日で袋を外す
10日ほどたつと、受精したものは実が膨らんでくるから、わかる。
ここで、紙袋を外して、あとは普通の栽培とまったく同じ管理をする。
⑥種とりは完熟させてから
一般の収穫より1週間から10日おそくまで成らせておき
種を充実させる。
粒をつぶして水洗いし、ガーゼで水分を取って、冷蔵庫に保管。
種まきは、12月に育苗用の鉢に播種する。
育苗用土は鹿沼土7にバーミュキュライト3を混ぜて使う。
これに腐葉土を乾燥させたものを1割ほど混ぜる。
こうすると植え付けのときに苗の毛根がばらけにくく、
活着が良い。
1鉢に1~2粒ずつ播いて、加温ハウスに入れておく。
種まき後、10日に1回くらい灌水し、
2週間に1回ハイポネックス1000倍液を施す。
2月頃に発芽して、そのまま5月中ごろまでハウスで育苗する。
本葉4~5枚になったら畑に定植する。
畑に植え付ける際は、堆肥のみを施し、肥料はゼロ。
活着前の肥やけを防ぐためだ。
活着したら、少量の高度化成を施す。
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交配した種は成長にばらつきが多いが、
樹勢が強い=良い品種になりやすいとのこと。
ただ、樹勢は1年目で見当がつくが、弱いものも取っておいて、
3年目の初結果を確認する方が楽しみが多いとのこと。
また、ブドウに関して言えば、
「枝変わり選抜法」という育種法もある。
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果樹品種は固体の一部分に
遺伝的な変異部分が現れることがあり、
これを枝変わり(芽条突然変異)という。
この変異部分の芽を接ぎ木繁殖することで、
もとの品種とは異なる栄養系(クローン)をえることができる。
枝変わりは、母品種より劣悪になることが多いが、
優良形質、あるいは特殊形質を示し、利用されることも多い。
果実熟期の早晩性、果皮色、耐病虫性、果実糖度、
酸含有、果皮の厚さ、枝の伸長性と分岐性、
結実などの変異が知られる。
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ワイン用ブドウだと、「ピノ・グリ」なんかは、
これで生まれてますからね。
日本ならではの、あるいは北海道ならではの品種が生まれると、
もっと楽しくなるんだけどな~。
自分1世代では難しいかな(笑)
参考:品種選び読本
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