2020年までのまとめ~ワイン読本~

さて、ワインの本もまとめ。


・ウスケ・ボーイズ 日本ワインの革命児たち
図書館で借りてきた1冊。
麻井宇介氏が影響を与えた、
岡本英史・城戸亜紀人・曽我彰彦の3名の話。

もちろんタイトルは、バローロに近代化の波を起こした、
「バローロ・ボーイズ」のもじりである。

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そして曽我さんは「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我さんのお兄さん。
なんだか、秘密の扉を開けたような、ワクワクした思いで読みました。

3人とも大学生でワインをめざし、
自分で畑を作ったり、ワイン関連の職に就いたり、実家を継いだ人々。
まだまだワインが浸透していない頃の日本でワインに目覚め、
フランスを貧乏旅行したり、悪戦苦労しながらブドウを作った物語。

離婚とか貧乏生活とか、数々の苦難を乗り越えながら、
最高のワインを目指して突き進んだストーリーは、
もはや伝説と言ってもいいんじゃないでしょうか。

こういった先人がいるからこそ、
僕はいま、北海道でワインを味わい、楽しんでいられる。
本当に、頭が下がる思いです。

で、この本を読んで麻井宇介さんにも興味がわいて、
さっそく著書を手に入れてしまいました。

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しばらくの間、読書タイムは、この本と付き合っていこうかな。
楽しみな4冊セットです。

・よくわかる栽培12か月

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図書館で借りてきた、NHKの園芸本。
生食用葡萄とワイン用葡萄の両方について書いてある。

葡萄栽培の1年は以下のような感じ。

1月:整枝・剪定の時期。苗木の手配。   
→ただし、寒冷地では切り口から枯れこむので、     
厳寒期の剪定は避ける。

2月:春先になると樹液が流動し、剪定ができなくなる。   
→2月中に剪定を終わらせる。
剪定した枝の処理も行う。

3月:苗木の定植。挿し木、接ぎ木。  
 種をまいて、自分だけの品種にチャレンジするのもあり。   
 1回目の薬剤散布(石灰硫黄合剤か、ベンレート水和剤)   
 枝の誘引、支柱立てなど。

4月:発芽の時期。
移植を行うなら、発芽し始めのこの頃に。

5月:芽かき。メインに房をならせるもの以外は切り落とす。   
房づくり。緑枝接ぎ。
新梢を接ぎ木するのは簡単。

6月:摘房、摘粒。果房が多すぎるのは失敗の根源。   
→間引きと、病気の粒を摘み取る。   
新梢の摘心。新梢が多くなりすぎるようなら、間引く。

7月:新梢の伸びすぎに注意。   
新梢の表皮が茶色になっていればOK。

8月:早い品種は収穫期に入る。   
ブドウトラカミキリの産卵期なので、防除を。

9月:収穫とお礼肥。
収穫が終わったら、感謝をこめて肥料を。   
ただし、着果量が少なかった木、幼木には必要なし。

10月:新しい苗を買うなら、良いシーズン。

11月:落葉。ブドウの葉には病気がついていることが多い。    
30cmの溝を掘り、埋めると栄養補給と病気の予防になる。    
元肥を入れる。入れ過ぎには注意を。

12月:防寒対策。若木にはワラなどを巻く。

コラムにもいろいろと面白いものが。たとえば…

①ブドウの一番甘い部分は? 
→房の上の部分/粒の下の(果梗から離れた)部分。   
だから、房の一番下の粒を食べてみて甘ければ、   
十分に熟していると言える。

②果樹には「栄養成長」と「生殖成長」がある。 
→枝や葉が成長する「栄養成長」と、開花結実の「生殖成長」  
 この2つは原則的に相反する。  

 しかし、栄養成長を抑えすぎると、開花はしても結実しない。   
バランスを取りながら、剪定と施肥で調節する。   
栄養成長を強めたいときは思い切った剪定と窒素を。   
生殖成長を強めたいときは逆を行えばよい。
他にも各作業の詳細や、防除の仕方、
害虫の種類など、とても参考になる1冊。
庭の葡萄の樹が育ってくれたら、何度か借りてきたい1冊。

・闘う葡萄酒 都農ワイナリー伝説

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九州は宮崎県の都農(つの)ワイナリーの本。
このワイナリーが注目されるのは、
各種の賞を受賞していることもあるが、その条件の悪さもあるようだ。

①気候条件 
フランスのボルドーやシャンパーニュの降水量は年間500~800ミリ。 
それに対して日本の平均降水量は年間1700ミリ。

ただでさえ日本の日照量不足、降水量の多さは悪条件と言われるのに、 
都農町では年間3000ミリ。
フランスの約4倍の雨がカビや病害虫をまねく。 
さらに宮崎は台風の直撃が多く、すべての実が落とされる危険性も高い。

②土壌条件 
表土は浅く、火山灰土の黒ボク土。 
降水量が増えると、表土がすぐに流されてしまう。

③土地の特性 
排他的な気風の町であり、生食用葡萄の産地。 
さらに焼酎のメッカで、ワインへの理解は乏しい。

④財政面 
第3セクター(官民共同経営)としてスタートしたが、 
資金5億3000万のうち、2億3400万円はワイナリー負担、 
つまり借金を抱えてのスタートという状況。

ワインを作りたければ、まずは条件の良い土地を選ぶこと、というのは、
ある意味で常識になっているが、
それと真逆のスタートで成功を勝ち取ったのは大きい。

ポイントは土壌の改良。
葡萄はやせた土地で良く育つ、というのがワインの常識だが、
「教科書どおりにいかないときは常識の裏を行け」ということで、
鶏糞を撒くことを始めた。

土地に直接肥料を入れるというより、ミミズなどの動きを活性化させて、
「土ごと発酵」させるという。

フランスは地球上に7%しか存在しない、石灰質土壌。
保水力がある一方、水分が飽和すると水はけが良くなるという、
まさに葡萄作りの理想郷。

しかし、この土壌改良に気づいてからは、
「ワイン専用品種の栽培は、日本では限られた地域以外無理だという
 【宿命的風土論】を打ち破るヒントが隠されていると考えるようになった」という。

非常に、励まされる内容。

そして、生産しているキャンベル・アーリーについても。
ヨーロッパで狐臭(フォックス・フレーバー)と呼ばれ、敬遠される、
アメリカ系品種特有の甘い香り。

これはアントラニル酸メチルという香気成分が、
この匂いを発しているわけだが、
日本人にとっては「ファンタ・グレープ」などでなじみがあり、
受け入れられやすかったこともあるようだ。

悪条件をはねのけての成功、力をもらいます。

そして、コラムなどにも、興味深い話がいくつか。
①シャルドネ・ラーメン 
塩ラーメンを作るとき、ホタテ貝柱とムール貝を煮出す。 
その際に都農ワイナリーのシャルドネを使うと、 
後味が断然違うとのこと。

②日本のワインブーム
第1次ブーム:1972年~。
大阪万博とワインの輸入自由化。
         「金曜日はワインを買う日」というキャッチコピー。

第2次ブーム:1978年~。
1975年にワインが甘味果実酒の消費量を上回り、
1000円台ワインが人気に。

第3次ブーム:1981年~。
一升瓶に入った低価格の地ワインブーム。

第4次ブーム:1987年~。
これが最大のブーム。
バブル絶頂にボジョレーが社会現象に。

第5次ブーム:1994年~。
バブル崩壊後、500円ワイン登場。

第6次ブーム:1997年~。
ポリフェノールが体にいいとブームに。
これに加えて、「神の雫」という漫画の存在も紹介されてます。



・ワインの常識

岩波新書で発見。

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図書館を歩き回ると、いろいろな本との出会いがある。
この本は1996年の発行ですが、なかなか学ぶべき点が多い。
特にワインの歴史は充実している。

今回おもしろかったのは、
1877年にワイン造りを始めた山田宥教(ひろのり)という人物と、
その跡を継いだ宮崎光太郎の苦労。

これが現在のメルシャン勝沼ワイナリーに引き継がれているという話。
そして同じく明治初期の新潟県でワインづくりを始めた川上善兵衛の苦労。
そしてその後、日本を襲うフィロキセラの害と、
その災厄を免れた山梨のワイナリー群、
その結果、山梨が日本のワイン会を牽引する存在となったこと、
などなど、興味深い話がたくさん出てきて面白かった。

最後に、この本に引用されていたゴーリキーの詩の一節を。
「ワインの中にこそ、陽光は最も多くふりそそぐ  
 神よ、ワインを作る人々に長い生命を与えよ  
 彼らこそ人々の魂にあふれるほどの  
 活力を与えてくれるのだから」

すばらしい。
ヴィニュロンを賛美する歌です。

・ブルゴーニュ

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図書館で借りてきた、ツアリストのための本。
ブルゴーニュについて詳細に書かれていますが、
これまた1999年の発行なので、最新情報はソムリエ教本などで
手に入れるとして、目についたトピックを。
今回は「ブルゴーニュ大公国」について。

現在のブルゴーニュは、ディジョンが中心。
人口15万人で、コート・ドール県の県都。
ブルゴーニュの政治・経済の中心で、学生街でもある。
このディジョンの発展は中世から始まる。
15世紀に栄えた、「ブルゴーニュ大公国」からだ。

当時のブルゴーニュ公爵は、
ベルギーやオランダの北海地域、
ルクセンブルグなどライン川の左岸の一部、
そしてジュラ地方まで支配し、
その権勢は本家のフランス王室をしのぐほどだった。

5世紀、北方バルト海沿岸から来たブルグント族が定住したのがきっかけ。
ブルゴーニュという名称も、このブルグントが語源とされる。
ブルグント王国はフランク王国に併合され、
フランク王国の3分割後は、西フランク王国の公爵領となる。

転機は14世紀半ば。
百年戦争で活躍したフィリップ豪胆公が即位してから。
領土拡大意欲が高く、婚姻により周辺所領を併合、
さらにフランス王室の後見人かつ、百年戦争における重要な援軍として、
政治的な影響力を強めていった。
(ちなみにこの人がガメイの栽培を禁止した人ですね)

しかし、この情勢も、百年戦争がフランスの勝利で終わると一変。
フランス王室は1470年、ブルゴーニュ大公国に宣戦布告。
シャルル突進公は、この戦いで戦死。
後継ぎもいなかったため、ブルゴーニュ大公国は滅亡。
紆余曲折の後、神聖ローマ帝国とフランス王室によって、
分割、併合されることになった。

んー、各地に歴史あり。
こういう話、すっごく興味が魅かれるんですよね。
職業病かな。

・日本のワイン

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これも図書館で借りてきた1冊。
2003年の発行だから、今から10数年前の本。
日本のワインの記述としては、かなり古くなってしまっている。
(それだけ日本ワインの進歩のスピードがスゴイということですね)

たとえば、ブドウ品種に関することでも、
この本では「甲州」の評価は低く(平板、特有の植物香、後味に苦味…)
「甲斐ブラン」の評価は高い。

これはもちろん、この本の出版後にボルドー大学の冨永先生による、
トロピカルフルーツのような香りを引き出す発見があったから。
同様に、現代では一定の評価がある「マスカット・ベーリーA」も、
この本では非常に低くなっている。
(野暮ったく、高貴さに欠ける、タンニンが荒い…)

故に、各ワイナリーの記述は参考程度に読むだけにして、
ここでの記述は控えておこうと思います。

————————————————————————————
逆に興味を引いたのが、「日本ワインの歴史」の部分。
縄文時代や中世の日本にワインはあったのか?という話から、
(この本の筆者は否定的な見解だった)
明治維新以後の、日本がワインを取り入れていく過程の話。

特に、「四爺さんの奮闘」の箇所は面白かった。
①源作爺さん
 埼玉県秩父の浅見源作氏の話。
 新しいもの好きで、英語にも興味があったという。
 何の資料も無い中、独学と実地の努力で葡萄を栽培。
 現在でも「秩父ワイン 源作印」として、受け継がれている。

②五一爺さん
 長野県桔梗が原の林五一氏の話。
 長野でメルロー種の栽培に成功。
 現在の長野ワインを作り上げた祖。
 平成2年に102歳でなくなるまでの、苦労の物語。
 現在でも「五一ワイン」として、その名を残す。

③重信爺さん
 山形県の武田重信さんの伝記。
 シャトー・マルゴーを飲んで感動。ブドウ作りをスタート。
 失敗を重ね、本業の工場が延焼したこともあった。
 それでも試行錯誤の結果、今ではシャルドネによる、
 スパークリングの名作を作る。
 現在も「タケダワイナリー」として残っています。

④友之助爺さん
 山梨県甲府市の「サドヤ」の今井友之助氏。
 甲斐の武田に連なる名家の生まれ。
 フランスで学び、広大なブドウ園を作り上げた、
 毛並みの良い葡萄栽培家。

これらの4人のストーリーは、
いずれも黎明期の苦労と、試行錯誤の連続が垣間見れて、
かなり面白かった。
数ページしか割かれていなかったので、
自分でも調べてみたいところ。

・ヤマブドウ
マオイ・ワイナリーのものを3本立て続けに飲んで、
興味がわいたので図書館で借りてきた1冊。

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「山フレドニア」も「国豊Ⅲ」もヤマブドウからできたワインでした。
以下、この本の内容と、僕自身の感想を。

——————————————————————————————-
現在、栽培されているブドウ品種は7000~8000。

これを系統的に3つに大別すると、
欧州系の「ヴィティス・ヴィニフェラ」、アメリカ系の「ヴィティス・ラブラスカ」、
そして「ヴィティス・コアニティー」=いわゆる「山ブドウ」系となる。
ワインの世界では前の2種が有名で、特に「ヴィニフェラ」をもって、
真のワイン用ブドウであるとされることが多い。

しかし、日本(特に北海道)でワインを作るとなると、
この土着の「ヤマブドウ」系も無視できない存在であると感じる。
それはなぜか。

①一般のブドウより水に強い特性。
 ヤマブドウは腐植土層の厚い、保湿性の高い土壌に適応しているため、
 ヨーロッパ系のブドウ品種より水に強い特性がある。
 もちろん、水が多いと根腐れや病気を起こすのはブドウとして当然だが、
 むしろ乾燥に弱く、湿潤に強い。日本で作りやすい特性を持つ。
 また、土質も特に選ばないので、酸性土壌でも充分生育する。
 斜面の向きも、北向きで日陰でなければ、特に南東向きである必要もない。

②交配品種の発達が進んでいる。
 ヤマブドウ単独では収量が低い点や、味わいが劣る点が見過ごせない。
 しかし近年、交配品種が増加しており、収量問題は改善しつつある。
 また、ヨーロッパ系にない香りや味わいを表現できる品種も登場している。
 有力な品種は以下の通り。
  「ヤマ・ソーヴィニヨン」…「カベルネ・ソーヴィニヨン×ヤマブドウ」
 →糖度は最高22度前後。酸はヤマブドウより低め。
   耐病性が強く、自然農法に向く。病害虫にも比較的強い。
 *近年、「ヤマ・シャルドネ」、「ヤマ・リースリング」「ヤマ・ブラン」など
   ヨーロッパ系との交配品種も続々登場している。

 「国豊Ⅰ~Ⅲ」…「ヤマブドウ×セイベル13053」×「ヤマブドウ」
 →収量が多い(10アールで2トンの生産者も)ことが強み。
   ボルドー液のみで生産できるが、病害虫には注意。
 *国豊ⅠとⅢは黒ブドウ、国豊Ⅱは白ブドウ。

 「山フレドニア」…「岩木山ヤマブドウ×フレドニア」
 →アメリカ系(ラブラスカ)が片親なので、敬遠される傾向にある。
  ただ、頑健さは魅力。「ヒマラヤ」に次ぐ強さを誇る。

 「ヒマラヤ」…パキスタンで実生で選抜。
 →耐寒、耐病性は抜群。マイナス27度でも枯死しないという実績を持つ。
  ポリフェノールが豊富で、健康食品としても注目される。

③テロワールの表現。
 北海道の土着品種を利用することは、テロワールの表現につながる。
 実際、ヨーロッパ系品種には無い味わい、香りがあるわけで、
 今後の栽培方法、醸造方法の向上で新たな境地が開かれるかも。
 上記のとおり、自然栽培がたやすいのも、日本人向けと考えられる。

以上のことから、北海道での栽培に可能性を感じる。
ただ、仕立ては垣根では栽培が難しく、棒仕立てか棚仕立てが良い。
このあたり、工夫が要りそう。
また、マロラクティック発酵でポリフェノールが増えるという研究結果もあり、
酸を落とした上に栄養分が上がるという相乗効果も見られる。
醸造技術の進歩にも助けられそう。

なかなか、面白いブドウ品種ですね。
ソムリエ教本などではほとんど無視される品種ですが、
個人的には、かなり面白いと感じます!

・ブルータス10月号「世界に挑戦できる日本ワインを探せ」
もう読みましたか??
今月号のブルータスは日本ワイン特集。

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世界一に輝いたソムリエに、日本の代表的なワインを飲んでもらって、
評価してもらおうという企画。
企画自体は、まぁ普通というか、大したことはないんだけれど、
セレクトが面白くて、興味を引きます。

最初に予選として日本のソムリエ3人に試飲してもらうんですが、
白の部門の1位はkondoヴィンヤードの「タプ・コプ」が。
俄然、テンションが上がりますね。

途中、クリサワ・ブランに難癖付け始めたときは
このまま捨ててやろうかと思ったけれど(笑)、
予選を通過して世界一のソムリエ(誰か忘れた)が、
まずまずの高得点を付けていて溜飲を下げました。
栗の味がして…なんて表記もあったけど、
さすが栗沢でできているだけのことはあるな。

北海道のワイナリーもたくさん紹介されてます。

まぁ、個人的な注目はP44~P45の、
kondoヴィンヤードとナカザワ・ヴィンヤードの特集。
写真もカッコいいし、お2人の歴史にも感銘を受ける。

あとP99のドメーヌ・アツシ・スズキの話も良い。
その直前にもウスケ・ボーイズとブルース・チルドレン(!)の
紹介があって…久々に雑誌で楽しめました。

今月号だけは「買い」ですよ。
お急ぎを。

・北海道のワイン

36号線(通称「さぶろく通り」)沿いのブック・オフでぶらぶら。
この店は巨大店舗で、ワインの古書も多く置いてある。
隣にある「コーチ&フォー」という書店にもワイン関連図書が多く、
かなり有意義な時間が使えるゾーン。
(*隣りあわせだし駐車場をまたいで行き来することも可)


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1996年の発行なので、最近のワイナリー情報はない。
しかし、かつてのワイナリーの話や、
いわゆる「お土産ワイン」たちの紹介もあって、
なかなか面白く読める本。

東川町なんて、そういった「お土産ワイン」から進化を遂げたのだから、
こういったワインの生産に関する話も、無視することはできない。
今や古書店でしか手に入れられないであろう本。
こういう出会いがあるので、古書店というのは面白い。

これまた、内容については記事に反映、
あるいは投稿していきます。

・アンリ・ジャイエのブドウ畑

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久々に(といってはなんだけど)とても良い本と出会いました。

神様アンリ・ジャイエというと、ワインの権威だし、
やっぱ格が違うんだろうな~と読んでみてビックリ。
なんというか、「農民」なんですね。

昔ながらの農法、つまりアンリ・ジャイエの栽培法の紹介と、
そこに潜む哲学と、そして科学的な論証が、
非常に軽やかな、いわばエッセイとも言うべき文体で綴られる。

最も興味を持ったのは、「水はけ」とは「表土の動物相」が決する、
というくだり。
ワインには水はけの良い土地が必要というのがセオリーだが、
もともと、水はけが良い土地ばかりではない。
そこにどれだけ豊かな生物たちの楽園を作るか。
それがすなわち、良いテロワールへとつながっていく。

こういった論述が、葡萄畑の四季から防除の仕方、
そして醸造学にまで及ぶ。

ワイン造りに興味があるなら、一度は読んでおくべき書。
おもしろかった!

・マット・クレイマー、ワインを語る
アメリカの評論家の本というだけで、なんだか忌避反応。。。
ロバート・〇ーカーさんとか。
あんまり好きでない(笑)

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なので、わりと懐疑的なスタンスで買ってみたのですが。
意表をついて(?)、かなり面白かった。

文学タッチなので読みやすいというのもあるけど、
アメリカ人にしては(?)非常に好感の持てる意見が多かった。

ワイン会の試飲はもったいない、というくだりとか。
1本1本が一晩じっくりと楽しめるワインなのに、
一口含んで、吐き出すとか…。
たしかに、そうだ。
ワイン会とかで大量試飲すると、最後の方の味とかわかってないし。
(飲みこむから悪いんだけど笑)

なかなか楽しい1冊。

・新・ワイン学入門

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図書館で、新着図書のコーナーにあったので。
面倒な確定申告の間に読んでいたのですが、
なかなかに面白い本でした!

歴史地理学者であるロジェ・ディオンを訳した筆者が、
「テロワール(地質や気候など…)がワインを決めるのか?」
という疑問に向き合って書かれた話。

自然科学者がデータで示す科学的根拠とは異なり、
歴史地理学者としての観点が斬新で参考になりました。

たとえば、「テロワール」ということが語られだしたのが、
いわゆる新大陸のワインが登場してからで、
とりもなおさずそれは
「商業的観点」から使われたフレーズである、
という視点。

さらに言えば、「川の近くに銘醸地あり」というセオリー。
これを自然科学者は日光の反射や、
地温との温度変化の差によって説明しようとする。
しかしこのロジェ・ディオン氏は、
ワインの運搬=水運という観点で説明する。

あるいはコート・ドールとロワールのワインで、
価格が数十倍~数百倍にもなることを、
自然科学者は土壌にその根拠を求めようとするが、
彼は歴史的背景(統治国の課税制度)と、
それによる商業戦略(薄利多売路線or高級化路線)に置く。

このあたりの観点が非常に新鮮で勉強になりました。

また、「テロワール」至上主義を否定するということで、
麻井宇介氏の著書も紹介されています。

その上で、ノルマンディーや北ロワールなど、
これまでワイン造りには向いていないと言われていた土地、
そこでのワイン造りの最新情勢の紹介。
そこから日本ワインの可能性というところまで書かれていて、
非常に良かった。

図書館でも借りられるけど、
買って1冊家においておきたくなる本でしたね。
すばらしい!

・自然なワインがおいしい理由
新規就農のことを札幌で勉強した帰り。
せっかく午前中から札幌にいるので本屋へ。
で、見つけたのがコレ。

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農業の話を聞いていると、無農薬とか有機とか自然農法とか、
そういう農法がいかに生産者に負担を強いているかが分かる。

そんな今だからこそ、自然農法でワインを作り、
成功している人たちの物語はロールモデルとして参考になる。

ビオの人、そうでもない人、いろいろいるけれど、
どの人も哲学があるのだということがわかる本。

「ワイン作りには心ばえが反映される」という言葉、
ズシっとくるなぁ。
ああ、早く農業がしたい。ワインが作りたい。
でも、そのために今の仕事はきっちりやりきるぞ!
全員合格させて有終の美をかざろう!

・新しいワインの科学

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ジェイミー・グッドさんの著書の改訂版。2900円。
ワインという芸術作品を、科学という観点で解析した1冊。
普通のワイン本なら避けて通るような話題
(たとえば「テロワールとは何か」とか)に対して、
真っ向から向き合っているところが、とても好感の持てる本。

「ブドウ栽培」「ワインの醸造」「味わいを感じるとは」という、
3つのテーマが大きな柱となっている。
おもしろいテーマが盛りだくさんで、一気に読んでしまう。

興味深い内容に関しては、このブログでも紹介してみたい。
一読の価値がある、非常に面白い1冊でした!

・北海道のワインを旅する

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平岡のイオンの本屋で見つけてきました。
道新(北海道新聞社)の発行している本。
筆者は阿部さおり氏。1200円。

中身は20の北海道のワイナリーが紹介されています。
掲載ワイナリーは、

・富良野市ぶどう果樹研究所(ふらのワイン)
・池田町ブドウ・ブドウ酒研究所(十勝ワイン)
・山崎ワイナリー
・鶴沼ワイナリー
・ナカザワヴィンヤード
・ブルース・ガッドラヴ
・歌志内太陽ファーム
・宝水ワイナリー
・マオイワイナリー
・北海道ワイン
・月浦ワイン
・余市ワイン
・グレイスワイン千歳ワイナリー
・ドメーヌ・タカヒコ
・ばんけい峠のワイナリー
・さっぽろ藤野ワイナリー
・松原農園
・札幌酒精(富岡ワイナリー)
・はこだてワイン
・奥尻ワイナリー

以上、20ワイナリー。

内容は各ワイナリー3ページずつくらいなので、
概要を知ることができるくらいで、特に目新しい内容はナシ。
ただ、写真がたくさんあって、マップも充実、
加えて近隣の食事処やパン屋も紹介されているので、
ガイドマップ的に使ったり、初心者を案内するには使える。

内容は、このブログにも随時、書いていく予定。

・ワインの事典

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少し古い本なので、統計などは参考になりませんが、
それでもワインの醸造から流通、
テイスティングのポイントからワインの歴史と文化まで、
幅広く1冊にまとめられていて、教科書的位置づけ。

執筆者には麻井宇介氏や田辺由美氏などが名を連ね、
様々な観点からワインを学ぶことができる本。

このうち、醸造に関しては麻井宇介氏が担当されている。
以下、後学のために引用。

————————————————————————-
ワイン醸造の技術は、こうして製成するワインを、
官能的に心地よく、知性的に奥深く、
固有の味わいを具備した飲み物に仕上げるために、
葡萄畑からカーヴまで、個々の作業現場を貫徹する
「思想」そのものとして在る。

それはぶどう果実に何物かを付加することではない。
ぶどうに内在するポテンシャルを、
最善の形で発現させることである。

(中略)

なぜ自然発酵は銘醸ワインを目指す
ワインのつくり手にとって魅力なのか。

その前に、銘醸ワインの品質において
具備すべき要件を考えてみる。

まず第一に酒質を構成する香りや
味の成分が複雑であること(complex)。
次にそれらが調和していること(harmonious)。
そしてその全体の印象が優美であること(elegant)。

こうしたワインに至る出発点がぶどう畑と
そこに栽培されているぶどうにあることはいうまでもない。
ここに蓄積されたポテンシャルを維持しつつ、
いかに発現させるかが醸造の役割である。

各種の微生物が発酵に関与する自然発酵は、
純粋培養の酵母をコントロールするように容易にはいかない。
醸造の現場で、安易に自然発酵を行うことは危険である。
まず、ぶどう畑から醸造場まで、
ワインづくりに好ましい微生物相を安定させなければならない。

化学合成農薬や化学肥料の使用を原則的に禁止し、
有機農業へ向かおうとする国際的な動向は、
ぶどう畑においても関心が高まりつつある。
ワイン作りをとりまく環境問題は微生物相、
そしてその先にある自然発酵にまで及んでいるのである。

これまでの微生物学やその応用技術は、
有用菌を単離して利用する発想によって、
伝統産業の醸造にも少なからず影響を与えた。
だが、自然発酵おは醸造の本来の姿を再認識させるものなのである。

ワイン作りは、適度に不純な発酵が「複雑さ」を醸成する。
そこには管理されたアルコール発酵には無いぬくもりがある。
銘醸ワインに人が感銘と安らぎを覚えるのは、
まさしく、そうした微生物学的「曖昧さ」に発している。

——————————————————————————–

この麻井宇介という人の文章には、
良いワインと同様、人を酔わせる魅力がある。
気持ちよく酔ってしまう。そのワインの哲学に。

・ワイン ブドウ品種基本ブック

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今年はワインエキスパートの試験にもチャレンジしたい、
という想いもあり、品種の勉強のために購入。

でも、読んでみてビックリ!
道産ワインや国産ワイン好きにも有意義な1冊です。

P67からは日本のピノ・ノワールが特集されていて、
ドメーヌ・タカヒコや山崎ワイナリーが登場。

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ブルゴーニュの生産者に並んで登場すると、
あんだか嬉しくなっちゃいますね。

そして、日本のカベルネ・ソーヴィニヨンでは、
タケダワイナリーや小布施ワイナリーも登場。
クローンの話なども勉強になったし、
知識系はこのブログでも紹介していきたいと思います。

良い本に巡り合えるのは幸せですね~。

・品種に詳しくなる2冊
二番通り酒店のワイン会以来、ブドウ品種に興味が強まって。

1冊はマジメな本。最優秀ソムリエも取った石田氏の著書。
「10種のぶどうでわかるワイン」。

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もう1冊は、ゆる~い本。「ワイン1年生」という本。

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ブドウ品種をアニメキャラにした1冊。

おもしろいですよ、この2冊の違い。
同じ「シャルドネ」の説明でも、
「10種のぶどうでわかる…」は、こんな感じ。

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一方、「ワイン1年生」は…

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全然雰囲気が違う(笑)
個人的には、漫画で表現するってのが珍しく、
そして門戸を広げる意味でも興味深かったな。

以上、2冊を参考に。

①シャルドネ
 二番通り酒店のワイン会で言うと、「マコン・ヴィラージュ」。
 その時の記事では、

「ブルゴーニュのマコン。ジュリアン・ギィヨという造り手。
 もちろんシャルドネのみ。2580円。
 非常にキレイな酸、北海道っぽさがあるな。
 後を引く余韻。青りんごのような香り。」

と書いたわけです。

この「青りんご」はリンゴ酸で、かなりシャープな酸。
ワインを非常に不安定なものにするため、
マロラクティック発酵で乳酸になると、
杏仁豆腐やバターのような香りになるらしい。
(乳酸は非常に安定している)

ということは、マコン・ヴィラージュは、
マロラクティック発酵をしていないということかな。

知識があると、いろいろなこともわかるな。

ちなみに、シャルドネの特徴としては。
「10種の…/ワイン1年生」の形で。

・個性
 「純白の個性」/「真っ白なキャンバス」

・味わい
 「本来の個性は生アーモンド」
 「白い花」「杏仁豆腐」「バター」「バニラ」「トースト」/
 「洋梨」「バター」「バニラ」「りんご」「ナッツ」「はちみつ」

アーモンドか…。
そもそも炒っていないアーモンドの味がピンとこない。
試してみないとな。

②グルナッシュ
 二番通り酒店のワイン会では、「パロマ」ですね。
 記事ではこんな感じ。

「ラングドックのエスダキという造り手。グルナッシュ100%。3120円。
 梅のような香り。スパークリングで梅っぽいってあるけど、
 ロゼでこんな香りははじめてだ。
 というか、グルナッシュのロゼ自体初めてだ。」

 南仏やスペインではロゼの主要品種になる、
 ということもちゃんと書いてありました。

・個性
 「凝縮感と柔らかさ」/「香りが高く濃密」

・味わい
 「ブラックベリーやブラックチェリーのリキュール」
 「ジャム」「甘草、しょうがりんどうの根などの漢方系」/
 「イチゴジャムや黒こしょう」

ただ、上記は赤ワインの味わいの表記だよな。
赤だと、「カリエル・デラス・ヴィラース」が、
ガルナッチャ(グルナッシュのスペイン名)比率が高め。

「スペインのカタルーニャの造り手。
 ガルナッチャ45%、シラー30%、カベルネ・ソーヴィニョン20%。
 アタックもあり、ボリューム感もあり、香りも良いな。
 こういうワインはかなり好き。」

グルナッシュは味わいの安定感が高くて、
(産地による味わいの変化が小さくて)
カリニャンなどとブレンドされることが多いとのこと。

シャルドネとは対照的ですね~。

・ワイン。
ワインの本は何冊か購入しているので、
読みがてら紹介もしていきたいと思っています。

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さて、今日のはムックの別冊みたいな感じのやつ。
タイトルと表紙がシンプルなのが良いね。
(誰かも知らないソムリエの顔の写真とかいらないでしょ)

購入のきっかけとなったのは、農楽蔵が載ってるから。

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お二人がフランスで、そして日本でどれだけ勉強されてきたかが分かる。
それでいて、あんなに肩の力の抜けた、
ふわっとしたワインが出来てくるのだから面白い。

個人的には、右下のお二人の写真がとても良い感じです(笑)

あとは小布施ワイナリーや都農ワイナリー、
あと大阪の島之内フジマルワイナリーとかも掲載されていて、
それぞれの話がとてもためになりました。
いろんな形のワイナリーがあっていいし、
今の日本ではたくさんの形態が生まれている。

どんなワイナリーが生き残っていくのかはわからないけれど、
フランス並みに(いやそれ以上に)多様なワインが生まれる、
そんな素地ができていくことを願いますね。

あとは後半に「リースリングの愛し方」という、
わりかしディープなところを突いた特集も面白かった。
リースリングか。一度しっかり向き合ってみようかな。
なかなか面白い1冊。

・リアルワインガイド43号
今日は久しぶりにゆったりした出勤…と思ったのですが!
起きてみると、キッチンに置いた弁当にアリ、アリ、アリ…。
今日の札幌は大阪より暑いらしいしな。。。
駆除に30分はかかりましたよ。はぁ。

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今日は2013年のリアルワインガイド。
バックヴィンテージ…じゃなかった、バックナンバーを購入。

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わざわざ探し出して購入したのは、北海道のワイナリーの特集があったから。
10R、KONDOヴィンヤード、ナカザワヴィンヤード、ドメーヌ・タカヒコ、
農楽蔵、山崎ワイナリー、北海道ワイン…と記事が続く。

農楽蔵までは、北海道ともう1本軸があって、
それが自然派のワイン造りをしているという点。
特に中澤さんが苦労してビオでケルナーを育てていく話は感銘を受けたな。

2013年の発行ということで、最新ヴィンテージが2012というのも、
絵柄や形状の点で非常に興味深かった。
(タプコプにゾークが付いていたり!)

微妙にフーリエの独占インタビューも面白かった!
良い雑誌ですね~。

・ゼロから始めるワイナリー起業

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最近、アマゾンで本を買うことにハマってます。
普通の本屋では、なかなかワイン関連の本が少ないので、
自分の好きなジャンルをネットで探して購入できるのは魅力。
特に、札幌から離れた現状では、なかなか本屋も近くにないし。

で、今回は長野のハスミ・ワイナリーの蓮見さんの本。
将来、できればワイン関係のことをやっていきたいな、
と考えている今日この頃だったので、ぴったりの本でした。

軽いエッセイのような書き口なので、さっと読める。
印象に残ったことは、ワイナリー立ち上げにかかった費用が、
細かく記載されているので、非常に興味深かった。
(やはり1700万円くらいかかるんですね…)

加えて、フェイスブックやツイッターを使っての広報、
そして市議会議員をやりながらの兼業体制など、
新しい農の形としても非常に興味深いですね。
かなり有用な1冊でした!

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図書館で多量に借りた一冊。
牡蠣や昆布の魚介の養殖から野菜まで。
色々な生産者が紹介されている。

なかでも興味深かったのが、ナカザワヴィンヤードの中澤夫妻。
松原農園から学んだというエピソードも、
北海道のワインの黎明期を支えたことが如実にわかる。
ブルースさんも収穫に来ている写真もあり、なかなか面白い本でした。

あとはエゾシカの狩猟、販売をする、馬木葉も紹介されてました。
害獣としての鹿と、ジビエとしての鹿。
そこが繋がると、一挙両得かも。
楽しみな分野ですね。

・ワインの世界史
図書館で以前から存在は確認しつつ、
なかなか手を出しかねていた本。

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ゴツイし重いし、内容もなかなか難しいし…。
どこか時間のあるタイミングで…と思いながら、
結局、全然タイミングが見当たらないので、思い切って読み始めました。

したらしょっぱなから、

「日本におけるワイン普及に尽力された明治天皇が
 誇りとしうるマユミに本書を捧げる」

との言葉からのスタート。
なんと、奥さんは日本人なんですね。

かなり専門的で、そして宗教関係(キリスト教、イスラム教)の記述が多く、
なかなか苦戦しましたが、一番興味が魅かれたのは、
ラブラスカ種(ナイヤガラとかコンコードとか)に見られる、
「狐臭(フォックス・フレーバー)」についての記述。

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人々がフォックス・グレープという表現を用いたり、
フランス語でワインについてフォクセ(狐の臭いがする)
あるいはルナルド(「狐のようにずるく立ち回る」とか「おう吐する」という意味)
という言葉を口にするのは、狐という野生の動物に、
このワインをたとえたからにすぎない。

これらのワインの臭いはきわめて特殊だが、
それがいいと思う人も結構いる。
エミール・ペノーはこの事実に驚き、
彼らしくもなく偏見を持って、

「この臭いはひどい。しかしこれらのワインも馴れによって賞味され、
 地域によっては好まれることがある(たとえばアメリカ東部)。
 とはいえこれは味覚上の非常識というべきである」

と論じた。

(中略)

ウィティス・ウィニフェラ種(いわゆるヴィニフェラ。引用者注)と、
ウィティス・シルウェストリス種(日本の山葡萄種も含まれる。引用者注)
の間に本質的な相違はなく、前者は後者から生まれたとされる。

彼に言わせれば(ロジェ・ディオン氏。引用者注)、
その最良の証として、ピノ・ノワール種やプティ・ヴェルド種は
播種や取り木で自然の繁殖をくりかえしたままにすると、
ラブラスカの味、つまりフォクシーな実をつけるようになってしまう。
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非常に興味深い。

日本人もまた、フォックス・フレーバーに関しては耐性が強い、
というか、かつての生食ブドウの記憶があるからか、
好んで飲む人も結構多いように思う。

その味覚を、フランス人と違うから「間違っている」と感じるのではなく、
日本人的感覚と考えることもできそう。

そして、ピノ・ノワールでさえ、その本質はフォックス・フレーバーにある。
うーん。考え込んでしまう。

・アンリ・ジャイエのワイン造り

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「ブルゴーニュの神様」と呼ばれる、故アンリ・ジャイエ氏の、
ワイン造り(主に醸造)に関するインタビューをまとめた本。
(これと対をなすように「アンリジャイエの葡萄作り」という
 栽培に関するインタビュー本もある。)

通勤が車で1時間近くかかるので、その信号待ちやら渋滞やら、
そんな隙間時間にじわじわと読んで、読了に至った。

これは思ったよりもずっと面白い本だった。
アンリ・ジャイエのワインづくりのスタイルは、
「人の手をなるべくかけず、自然を主役にする」というもの。

昔ながらの伝統的な手法(土いじりに重点を置くとか)を尊重しつつ、
新しいことにも取り組む(低温マセラシオンの発見とか)、
そんなアンリ・ジャイエの人となりが伝わってくる1冊。

基本的には穏やかで人懐っこくて、でも頑固で俺様的な気質もある。
インタビューやコメントを通して、それが分かるというのも、
インタビュアーの質問力があるからだろうな。

醸造へのこだわりも面白かったが、
なにより驚いたのは、ヴンテージごとの醸造のやり方の工夫のところ。
毎年毎年、「こういう年だった」という説明から、
「こういうやり方をして、こういうワインが生まれた」というところまで。
良い年も悪い年も、いつも試行錯誤して、同じやり方ではない。
ここまでこだわるからこそ、良いワインが生まれるんだろうな。

アンリ・ジャイエの息遣いが聞こえてきそうな本。


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