マセラシオン・カルボニックとは。

さて、今日の収穫で、

「今年の白ブドウは糖度が上がったが酸が下がらず、
 ギリギリまで収穫を待った。」

という話を聞いたので、醸造で酸を落とす工夫って、
何かあったっけ?ということで調べてみました。
最近の僕のワインの辞書「新しいワインの科学」より。

ちょっと専門的なので、興味が無い人は読み飛ばしてください~。
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マセラシオン・カルボニックとは、
破砕しない房のままのブドウを密閉タンクに入れ、
そこに二酸化炭素を注入して発酵させることをいう。

無酸素状態になると、
無傷のブドウの実の内部で細胞内発酵が起こり、
少量のアルコールが生成される。

それと同時に、ワインの香りに影響する様々な化合物が生じる。
アルコール度数が2度に達すると、ブドウの実が死滅し始める。
すると、果汁が自然に放出されるか、そうなる前に実が圧搾され、
以後は通常の(酵母による)発酵が起きる。

(中略)

マセラシオン・カルボニックを可能にしているのは、
嫌気発酵と呼ばれるプロセスだ。
酸素の無い状態で糖が分解し、エネルギーが放出される。

二酸化炭素の中に房のままのブドウを入れると、
ブドウは糖を分解するだけでなく、
ブドウの主要な酸のひとつであるリンゴ酸も分解する。

分解されたリンゴ酸は、まずピルビン酸に、
次いでアセトアルデヒドに、
それからエタノールにと変化していく。
通常、リンゴ酸の半分はこのようにして分解される。

したがって、マセラシオン・カルボニックを行うと、酸度が低下する。
かなり大幅に下がって、もおかしくはなく、
滴定酸度が最大で1リットル当たり3.5g減、
PH値が0.6単位上昇となる場合もある。

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この本は何度か読み返す価値があるので、
分からないことが出てきたら、必ずこれで調べてます。

ドメーヌ・タカヒコでも「全房(除梗ナシ)発酵」をしているが、
それと似たようなプロセスが白ワインでも発生するようだ。
(赤の場合は酸はマロラクティック発酵でも減るので、
 目的としていることは全然違うだろうけど)

タキザワ・ワイナリーはここ数年で
白の酸がかなり控えめになった。
醸造の工夫というのが、いろいろあるのかもしれないな。

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