2016年までのまとめ~10Rワイナリー+ココファーム~

これも旧ブログより引っ越しの記事。
北海道空知地区、岩見沢の「10Rワイナリー」と、
あとは栃木の「ココファーム・ワイナリー」の紹介です。

なぜこの2つを一緒に紹介してしまうかというと、
ひとつはブルース・ガットラブさん繋がりですね。
アメリカ出身のブルースさんが、
初めて日本で醸造を担当したのが「ココファーム」であり、
そこから北海道に移住して、自らのワイナリーを作ったのが、
「10R(トアール)」だから。

もうひとつは、現在でもこの2社のコラボもあり(「こことある」シリーズ)、
さらには醸造が10Rで、保管・熟成はココファーム、なんてのもあって、
正直言って、分けて紹介するより、一緒に紹介してしまった方が、
いろいろと便利そうだったということがあります。
個人的な感覚では、この2社はブルースさんを軸にして、
テイストに共通する部分が非常に多いと思っているので、
その点からも合わせての紹介で問題ないと考えています。

今後、もう少し(特に10Rの)多くのワインを味わって、
その違いが明確にできてきたら、追って分けて紹介しようと思います。


さて、そんな10Rワイナリーとの最初の出会いは、
2014年の秋に行われた「そらちワインピクニック」で、
ブルースさんがインタビューに答えていらっしゃったとき。
海外から、北海道に可能性を感じて移住して、
そしてワイナリーを立ち上げているということに驚きもあり、
さらにそれが日本屈指の醸造家であるということで、
非常に興味がそそられたのを今でもはっきり覚えています。


・10Rワイナリーを訪問しました。
そして、201410月に初訪問。

続いて10Rワイナリーを目指して。
栃木県のワイナリーで醸造責任者を務めてきた、
アメリカのニューヨーク出身のブルースガットラブさんが、
ブドウの栽培農家として新規就農して生まれたのが10Rワイナリー。

ブルースさんはワイン醸造技術者の養成機関として知られる、
カリフォルニア州立大デービス校を卒業後、
同州の「ナパ・バレー」でキャリアを重ね、
1989年から栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」の醸造責任者に。

その後、2013年に岩見沢市栗沢町上幌に農地3.5ヘクタールを取得、就農。
ブドウ畑もここからスタートですね。

10Rワイナリー(トアールワイナリー)は「とあるワイナリー」が語源。
本当は「あるワイナリー」にしたかったらしい。
自分が愛する北海道のブドウ栽培家たちからの委託醸造を、
積極的に受け入るのが目標。

その際、自分のワイナリーの名前が「醸造元」として
アピールされることを避けたかったかららしい。
なかなか面白いネーミングですよね。

さて、そんな10Rワイナリーを目指して岩見沢を散策。 
なかなか見つからず、結構、迷いました。
道を聞いて、交通安全のタイヤのオブジェを目標にして、
ようやくのことで到着。

車を停めると、奥さんが出迎えてくれました。
まだ10Rのワインはできてないので、畑だけ見学させてもらうことに。

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ちなみに、10Rワイナリーのワインは今月末くらいにリリース予定。
遅くとも年内には、とのことでした。畑は小ぢんまりした印象。

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若木が多いのかな?
それでも、房をしっかり付けてるのもありました。
この畑で生まれたワインが楽しみになります。

さて、ワインも紹介していくのですが、
10Rはカスタムクラッシュ(委託醸造)という形式上、
「何をもって10Rのワインというのか?」というのが、
非常に難しい。
10Rで醸造されたワインということになると、
それこそKONDOヴィンヤードとか、ナカザワヴィンヤードも、
10Rのワインということになってしまうし。

ま、今回は深く考えずに、ココファームと10Rのコラボ、
「こことある」シリーズをメインに、まとめていきますね。

・雲の時間2013
とかいいつつ、いきなり紹介はココファームから。
「ヴェレゾン」さんでのワイン会にて。
2014年11月ですね。

そして4本目は「こころみシリーズ」。未発売の白。
ゲヴェルツ・トラミネールとソーヴィニョン・ブラン、
そしてピノ・グリのアッセンブラージュ。

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これは文句なしに今日のナンバー・ワンでしたね。
アッセンブラージュがうまいワインというのは、
なかなか北海道ではお目にかかれない。

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アッセンブラージュでうまくなるというのは、
本当に才能の世界ですよね。
途中、KONDOワイナリーやナカザワ・ヴィンヤードの
「混植」の話にもなりました。

アッセンブラージュでも完成品の読みが難しい。
混植だと、さらに読めなくなるんで、
これは何よりも経験がものを言うんだとか。

近藤さんは特に、タキザワさんの「グリーン・テーブル」という
会社にも参加していたし、余市でも研修していたし、
北海道ではナンバーワンの経験を持っている。
それがあるからこそ、できることだということでしたね。

とにかく、そういった「天・地・人」がそろったワイン。
ぜひとも販売がスタートすることに期待ですね。

・ぴのぐり2014

2015年の11月になってからです。

あいも変わらず、師匠頼みのボトル。

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初の10Rのワインですよ。
グラス1杯分だけ、いただきました☆

今日は朝から晩まで仕事を頑張って、
まさにそのご褒美とも言うべき1杯。

味わいはコクがあり、甘やか。
奥さんは北海道のブドウとは信じられない、と。
それくらい酸はこなれていて、攻撃的な感じは一切ない。
これはすごいわ。
北海道のポテンシャルには、本当に驚かされる。
こんなにコクがある白も作れるなら、可能性は無限じゃないか…。

幸せな夜更け…。

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・ぴのろぜ2014

次に出会ったのは12月。

金・土と朝から晩まで働いたので、
日曜はちょいとゆったり過ごしました。
今日は料理もせず、お惣菜でパーティー。

コープで寿司を買ってきて、鶏のグリルやエビフライも、
全部、惣菜で手抜き(笑)

合わせたのは、グラス2杯分の頂き物、ぴのろぜ。

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近藤さんの混醸に近い味わい。
天然酵母の魅力かな?すごくおいしい。

奥さんはアルコールが強くないので、
味見して、残りはくれるものと、自分で飲んじゃうものに分類しますが、
今回のも(前回のぴのぐりに引き続き)自分のグラスは自分のものに。
桜餅に合う、と絶賛でした。

日本食や日本のお菓子に合うロゼって貴重。

今年も終わりが近づいてきて、
何かとパーティーの多いシーズン。
重宝するワインです。

ベーコン作らなアカンなぁ。。。

・月を待つ2013

次も12月。飲めるとなると、連続して飲んじゃうもんですね。
名前も好きなんです。「月を待つ」って、日本人的。。。

今日は大先輩と会食。
場所は北広島の小料理屋「なごみ」さん。
ここは感動的だったので、また後日紹介します。

ボトルで頼んだのは、ココファームの「月を待つ」。
Here comes the moon.ですよ。

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余市のケルナーで作られているんですが、
これがもう素晴らしい複雑さと豊かさで…。
もううっとりする白です。
このケルナーはひとつの完成形だと思うな。

ワインというのは、本当に様々な果実の味わいがするのが不思議だ。
トロピカルフルーツや柑橘、そして蜜。。。
香りは控えめだが、日本人としてはそれはそれで魅力で。
こういう素晴らしい1本がある店は、当然料理も素晴らしい店でした。

さて、大先輩との話の中での気づきもいくつか。
やはり経営者の方との会話は、刺激的ですね。

そういう意味で、自分で経営すること、
経営者の視点に立つこともまた、農業の魅力だと思わされます。

現在、農業に向けた準備中であるものの、
金銭面から来春のスタートを迷っているのが現時点。

一方で、大先輩はかなり大がかりな事業展開を、
今年からスタートさせるということ。

ここにある差は何なのか。
一番大きな差だな、と感じたのはビジョン。
「視覚」と「視野」「視座」の話がありました。
目の前のこと(つまり自分のしたいこととか)だけでは、
必ず事業というのは行き詰る。

一歩引いて、周りとの関係の中で対象を見ることができれば、
自分の相対的な場所や役割が見えてくる。

さらに引いて、もっと大きな視座から見渡せば、
海外の情勢といった地理的スケール、
あるいは時間的スケールから物を見ることができる。

つまり、自分の中での「ストーリー」が、
どれだけ豊かに持てるかということ。
あるいは伝えられるのかということ。
金銭面というのは、その後の話。

そういう話を聞いているうちに、いろいろと展望が広がってきました。
たとえば、「農をeducatinalにする」という話も出てきたけど、
農業と教育のコラボとか、ワインとのコラボとか。
そういうストーリーが膨らんでいくこと、それが大事なのかも。

やはり、人と話すというのは可能性が膨らむな。
この年末年始、がっつり考えよう!

・ピノ・ノワール2014

ここからが2016年に入って。
まずは4月の「ワイン法講座」のアフターパーティーにて。

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木村農園のピノが、10Rで醸造、販売はココファーム。
これまた表記が今後難しくなりそうな1本だな…。

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これは、唸るほどの複雑さですよ。
パワーも感じるし、文句なしだ。
(北海道のピノでパワーを感じるのは少ない)

この会のナンバーワンでした!

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そして料理との相性もいいんだ。
この十勝の豚肉、脂が甘くてウマイ。
それに野菜も良い味出していて、
これがピノと合うのなんのって。

やはり北海道のピノは豚肉や野菜と合う。
不思議だが、最高のコンビネーション。
幸せだな。

・ぴのぐり2014

次はバルコでのワイン会。2016年の6月ですね。

さて、18時を過ぎて、いよいよワイン会スタート。
白の割合が高く、順番が難しいところ。まずはグリ・グリ対決より。

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まずは日本のピノグリの傑作、ココファーム&10Rの「ぴのぐり」。
アルコール度数は12.5度。白にしてはアタックが強い。
香り高さと、後味に残る苦みが特長。
この余韻の長いタンニンはピノ・グリの特徴なんですね。僕
もコノスルで練習したけど、なかなか難しい。
でも、ココファームのこいつは分かる。
これなら見分けることができると思うな。

しっかり主張してくる名作です。
料理も美味しいし、合うんだよな。

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とくに真ん中の鶏胸肉と豆腐の燻製、 これとの相性はバッチリでしたね。
薫香と言えばソーヴィニョン・ブランを (僕は)思い浮かべるけど、
ピノグリとも、良いんだな。
料理も最高。 楽しい夜です!

・小西農園ツヴァイゲルトレーベ

次は2016年の7月ですね。
余市のイベント「ラ・フェット・デ・ヴィニュロンズ」にて。

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登醸造さんに伺いました。

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結構、アップダウンを乗り越えて行くことになります。
僕は花振いと長梢剪定と短梢剪定の関係に耳を澄ませつつ歩いてました。
だもんで、次行ったときに1人では歩けない気がする…(笑)
地図でいうと右上。一番離れたところにあるので、最初に訪問。

今回のイベントで一番痛感したのは、ツヴァイの魅力だな。
ドメーヌ・タカヒコのワインを飲んで、ツヴァイって美味しいな、
とは感じていましたが、それはタカヒコさんだからか、と思っていましたが、
魅力的なツヴァイに何本出会いました。

余市のテロワールに合っているのかもしれないし、
醸造の工夫があるのかもしれない。
ともあれ、ちょっと注目の品種です。

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1本めは「こことある」のシリーズより、ツヴァイゲルトレーベの2014。

まず、アタックに驚かされる。
パワーを感じる。
北海道で(あるいは日本で、かも…)
赤でパワーを感じるものは、そう多くない。
どちらかと言えば繊細で、おしとやかなタイプが多い。

もちろん、そういった造りも大好きだし、
僕の好みとしても、そういった赤ワインは大好きだ。
(世界的な潮流も繊細な赤に人気が出始めてますけど)

でも、やっぱりワインの多様性を考えたときに、
こういったアタックが感じられて、パワフルなのも欲しい。
濃くて強い、どちらかと言えばボルドーっぽさというか、
ボジョレーのガメイっぽさとか、そういう感じ。

ぜひとも、今後確立されていって欲しいジャンルです。

ただ、どうしてもレア感が出てしまうのは仕方がないか…。
ビーフシチューとかに合わせてみたいけど、
手に入らないんだよな…。

・月を待つ2014

登醸造さんでの2本めは、月を待つ。

もう、名前的にジャケ買い必須でしょ(笑)
こういうの、弱いんだ。

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藤澤さんと、登醸造の小西さんの畑のケルナーを使った1本。
以前に飲んだときも感動した覚えがある。

とにかくフルーティーで、「甘いワインが好き」という女子にはぜひ。
甘いだけのワインを越えた、複雑な味わい。
確実にワインの世界にどっぷりハマらせる自信がある1本。

香りは様々なフルーツ。
グレープフルーツとかリンゴとか、柑橘類の香りも。
幅広く料理にも合いそう。
海鮮とか鶏肉はぜひとも試してみたいな。

名前の由来は、「出る月を待つべし、散る花を追うことなかれ」という言葉や、
「Here comes the moon」という歌をもとに付けられたとか。
日本人の心に響いてくる1本。

ついでといっては何だけど、
この醸造所に来がてら聞いた、
「剪定(せんてい)」の話について、「ワインの科学」より。

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剪定の目的は、ぶどうの結実能力を高め、最適な樹幹形成を促し、
栽培者が求める品質に合わせて着果量を調整することにある。

(中略)

まず、剪定には2つの種類がある。
短梢(たんしょう)剪定と長梢(ちょうしょう)剪定だ。

長梢剪定は、前年に伸びた新梢(結果母枝)を1~2本選び、
根元から6から15芽程度残して切ることを言う。
水平方向に張られたワイヤーにこの結果母枝を撒きつけ。
そこから翌年の枝を成長させる。
一般に、長梢剪定したブドウの木では、
毎年変化しないのは垂直の幹のみである。

(中略)

短梢剪定は、前年に伸びた枝を数芽だけ残して
大幅に切り詰めるやり方である。
短梢剪定の場合、ブドウはもっと恒久的な樹形になり、
普通は1本の幹と水平方向の主枝(コルドン)で構成される。

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大きく分けると、この2パターンから剪定方法を選択することになる。
ただし、毎年気候も違うし、樹齢の変化によっても最適解は変わる。
みなさん、試行錯誤と情報交換を常に行って、
ベストのやり方を模索しているんですね。

あと、今回話題に出てきて興味を持ったのが「ゴブレ式」。
仕立て方の1種で、「棒仕立て」とか「株仕立て」とも言われる。
枝の先だけ短梢剪定して単純に仕立てるやり方だけど、
近年は(世界的には)長梢剪定のギュイヨ式や平垣根式(VSP)へと
移っている印象がある。
流れに逆らっている感じだけど、さて、どうなるか。

生産者さんたちの創意工夫、聞かせてもらって幸せです。。。

・北ののぼ2012

ラ・フェット・デ・ヴィニュロンズの3軒目は木村農園さん。

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畑も「まさに余市」っていう感じの雰囲気。

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こういう1本スッと木が立っている様子って、北海道っぽいな。
左側がずっと葡萄畑というのも壮観。

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地図でいうと、右下ですね。

まずは、「北ののぼ」から。

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いや~、これは酸が強いな。というか、酸っぱいぞ。
これで2012と言うんだから…。
皆さん、「あと1年くらい置いて…」という話をされていたけど、
僕としては、あと5年じゃないかな…と思います。
酸の角が取れて丸くなると、ひょっとしたら優しいワインになるかも。

これはこれで、好きな人はハマる系だと思う。
僕も極端なワインは割と好きなので、イケル口ですが(笑)

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今回も氷の入ったクーラーで冷やしてありましたけど、
もっとキンキンに冷やしてみると面白いかも。
冬に雪に差しながら飲む、とかね。

いや、本当に北海道の人は暖房焚いて泡を飲むから。
意外と、ハマるんですよ、その飲み方も(笑)

・ピノ・ノワール2014

木村さんでの2本目!

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木村さんの本領はピノ・ノワールにある、と思うんだよな。
コイツもかなり美味しかった。
タンニンの厚みがあって、酸のキレが良い。
酸が特徴的なのはドメーヌ・タカヒコとの決定的な違い。

ツヴァイを飲んだ後にピノを飲むと、
やはりそのキレイに尾を引く余韻に感動する。

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北海道のピノはタカヒコさんだけではないぞ、
という可能性を見せてくれる1本でした!

・こころみケルナー2010

次は8月。ココファームのワインですが。
ぶどうは余市の木村農園のケルナーを使ってます。

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テイスティングコメントは、

「甘く苦い。記憶にあるな。凝縮感もあり、ウマイ。
 お行儀が良いイメージ。バランス感覚も抜群」

点数は10点満点中で7点、順位は5位。
北島秀樹ケルナーを予想してハズレ。

数年の熟成を感じない、初々しい印象だったので、道産かと。
なんと栃木のココファームだったとはね。
未飲なのに、「記憶にあるな」というコメントが恥ずかしい。

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このワイン会は料理も非常に美味しかった。
鶏ハムと砂肝のコンフィのサラダ仕立て。
砂肝というと「コリコリ」という歯ごたえをイメージするが、
これはソフト。とても柔らかく、ワインの邪魔をしない。

白との相性も非常によく、味の変化も楽しめた。
素晴らしい会だな(笑)

・上幌ワイン「風」ルージュ

10R単独を飲んだのは、2016年9月のナチュリズム札幌にて。

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10Rの風です。
エチケットの赤、ワインをこぼしたのかと思ったけど、
全てのラベルがこのカラーリングとのこと。
お洒落だな。ワインを意識した色なのかな。

グラスに注がれた感じも、おもったよりずっと明るい赤。
非常に美しいカラー。透明感があり、輝くような色合い。
(経験的に、輝くような色合いのブルゴーニュはハズレが無い)

味わいも複雑で繊細。さすがですね。
これぞ理想の赤だ。
北海道の赤でイメージするような、酸の強さは無い。
心地もよく余韻が伸びて行って、しばらくうっとり。

この日飲んだ、どのピノよりも美味しかったな。

よく考えると、10Rのワインは初めて飲んだ。
これはハマるかもしれない赤だ。

いい出会い。

・北ののぼ2012
最後は2016年12月。最近ですね。

今日は昼から三井アウトレットパークへ。
奥さんのクリスマスプレゼントを買いに。
誕生日プレゼントは自分一人で探しに行ったが、
それで成功する可能性は割と低いと思うので、今回は2人で探す。

希望は誕プレのパジャマに合う、
ルームウェア的(温かい)自然素材の靴下。

いろいろ探して、結局は「mont bell」という登山の店で、
最も暖かく、素材も合っていて、(まぁまぁ)可愛いものを発見。
ふー、クリスマスプレゼントも決まってよかった。

その後、昼食を探すも、本当に激混み。
(そういや、イベントでMay Jが来るとか言ってたな…)
何とかフードコートで食べれた。
しかし、このフードコートはレベルが高い。旨かった。

で、夜はエーデルワイスファームのソーセージでパーティー。
ソーセージに合うもの…というのは結構難しくて、
薄めの赤か、濃いめの白で迷った挙句、
白に決めかけてからの…逆転で泡。
(ワインの神様からの啓示があったので…笑)

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「北ののぼ」にしました。
北海道余市のピノを使って、北海道岩見沢の10Rで仕込み、
醸造は栃木のココファーム&ワイナリーです。

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結論から言うと、少し脂の多いソーセージと、
強めの酸が売りの泡の相性が良かった。
ソーセージはこの間の手作りに似た味わい。
(もちろん、ずっと美味しかった。さすがプロ。)

そしてこの泡は、ファーストインプレッションはレモン。
ライムやレモンの強い酸を彷彿とさせる。
鼻の頭に汗が出るような酸。
味わいはリンゴ(特に蜜の部分の香り)。
これが脂のこってりとした味わいを爽やかに消してくれる。

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オードブル用のソーセージ。

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せっかくスキレット(鉄板)を買ったので、
目の前でジュージュー言わせて焼く。
あとはボストンベイクのバゲットを合わせて。
かなり美味しい。

そして、ワインも時と共に顔を変える。
泡で変化が楽しめるっていうのは、僕としては初体験。
泡が落ち着いて、コクが出てくる。
カスタードの香りが出てきて、アップルパイみたいな味わい。
あるいは、クリームブリュレの、あの茶色い部分。カラメル?
すこし焦げた感じ?(焦げたは言いすぎだな。ほろ苦いような…)

でも奥さんは、逆に泡が飛ぶと酸を強く感じるようになったそうな。
本当にワインの味わいって個人差があっておもしろい。
時間が経つことによって、
僕は酸が気にならなくなり、奥さんは酸が気になるようになった。

真逆の感想だけど、
きっとどっちが合ってる間違ってるっていう話でもないんだろう。
ワインの感じ方は自由。気楽にそれぞれ楽しめばいいさ。

「しあわせだ~」とつぶやく瞬間があるってのはいいな。
ほろ酔いのまま、今日は早く寝てしまおう~。

・農民ロッソ2014
おまけで、ココファーム単独のワインも。

ちょっと今日は思い入れのあるワインを。

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ココファーム&ワイナリーの農民ロッソ2014。

北海道に引っ越してすぐのころ、
家の近くのイタリアンレストラン(チェーン店)に行ったんです。
奥さんと一緒に料理を決めて、
で、運転を替わってもらえることになって、喜んでグラスの赤を。
オススメのコーナーになっていたので、特に銘柄も見ずに注文。

で、分厚いグラスで出てきたこともあって、
さほど期待もせずに飲んだら、あまりの美味さにぶったまげて。
慌ててもう一度メニューを持ってきてもらって、
そこで知ったのがココファームであり、この農民ロッソでした。

日本の(それも栃木の)ワインだと知ってかなり驚いた記憶があります。
もちろん、チェーン店がグラスで出すくらいだからリーズナブル。
ボトルで買っても1500円というところです。
恵庭の原田商店さんで見つけたので、迷わず購入してきました。

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小ぶりなんだけど、きれいにまとまっている。
とにかく、この価格帯としては(特に日本の赤としては)
例を見ないほどのバランスの良さ。
安いワインに特有の独特なイヤみな臭いももちろんなく、
アルコール度数でごまかすような、強烈なアタックやエタノール香もなく、
それでいて果実の感じや赤い花のような香り、そして適度な余韻。

突出する魅力がないので、平凡といえば平凡なのだが、
それぞれの要素の基礎レベルが高いことと、
バランスが取れていることで、使い勝手の良い赤に仕上がっている。

印象としては、ボルドーの片田舎で、
無名だけど生真面目な夫婦がしっかりと作っているようなワイン。
日本でこういうワインが生まれているということに、
大きな可能性を感じたことを鮮烈に覚えています。

そこから醸造家のブルース・ガットラブさんを知り、
それが現在では北海道岩見沢で10Rワイナリーを始めたことを知った。
そしていわゆる「ブルース・チルドレン」と呼ばれる、
10Rで醸造→独立してワイナリーに、という人も増えている。
もちろん、その人たちをいまだに僕は追いかけているわけだから、
この1本の功績は非常に大きかったと言える。

感謝すべき1本。

・「ブルース、日本でワインをつくる」

あと、本も紹介しておきます。
2014年末に購入し、
読後、本棚にしまってあったのを再度取り出して。
結構、同じ本を何度か読む派です。
読む度に違った気づきがあって、深まっていく感じがするので。

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2014年に最初に読んだ時の感想は以下。

————————————————————————————-
10Rワイナリーの、ブルース・ガットラブさんの伝記のような本。
小さいころの話から始まって、
ココ・ファームでコンサルタントを始めたときの話、
そして北海道でワイン造りを始めた話。
非常に興味深く、夢中になって読める本です。

中でも、北海道を選んだときの話が印象に残りました。
少し、抜粋。

「北海道を選んだのは(中略)香り豊かで、バランスの取れた、
 北海道産のワインと出会い、強い印象を受けたからです。
 そして北海道産のぶどうを仕入れてみて、
 香りも味も豊かで、酸味がきれいであることが分かりました。」

「北海道は年間を通して気温が低いので、夏でも夜は涼しく、
 ぶどうを育てる場合も病気があまり広がりません。
 そして冷涼な気候のおかげで、ぶどう栽培で使用する農薬が
 少なくて済む点も、好条件に思えました。」

(中略)

「内陸でも寒暖差のある場所では、
 ぶどう本来の風味が残りやすいのです。
 白ワインやスパークリングワインにはとくに大切な酸味もしっかり残り、
 病気の果実も少なめになります。」

ヨーロッパやアメリカも候補地に挙げながら、
最終的に北海道を選択されている、ということからも、
北海道というテロワールの可能性を感じます。

本全体を通して、ブルースさんと会話をしているような、
そんな息遣いを感じる印象が残る。
北海道のワインを知るのに、必読の1冊でしょう!

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で、今回読み直してみて一番の気づきになったのは、
科学的手法と自然派の造りのところ。
やっぱ昨日のワインの「なんかちがう」が頭にあったのかな?

以下、引用。

「『パンドラの種』という本があります。
 その著者のスペンサー・ウェルズは科学者ですが、
 ある日突然、科学にできることは極めて限られていると悟ったのです。
 私自身も科学を勉強しましたが、化学は私たちが考えているほど
 有効なツールではありません。」

(中略)

「現代のワインづくりで化学を使うのは、競争力のあるすぐれたワイン、
 正しくて弱点の無いワインをつくるためです。
 でも本当に素晴らしいワイン、香りをかいだとき、
 これは本当に人間がつくったものだろうかと胸を突かれるワイン、
 美学的に美しいワインは、科学的手法では生み出せません。」

(中略)

「なぜすぐれたワインは科学を使わない方法でつくられるのか。
 それは、ワインが本来、
 自然によって作り出されるものだからなのです。
 ワインには少なくとも3つの生態系が働いています。
 一つはぶどうの栽培、もう一つは発酵(微生物のはたらき)、
 そしてもう一つは発酵後の貯蔵。
 貯蔵の段階でも、樽やタンクの中で、
 バクテリアやイーストが作用します。」

確かに、傾向として僕自身も自然派に感動することが多い。
特に北海道に来て、道産ワインを飲み始めてからはそう。

もし将来、自分でワインをつくることができる日が来ても、
やはりそういう手法を選ぶだろうと思うし。

何かしっくりときた感じ。
自然派の造り手によるワイン、もっと飲んでみたくなりました!

———————————————————————————————
最後に、2014年の「そらちワインピクニック」における、
ブルースさんのインタビューを載せておきます。

-本日は、非常にお忙しい中、10R(トアール)ワイナリーの、
 ブルース・ガットラブさんにお越しいただきました。
 ワインの提供はありませんが、空知にとって重要な人です。
 もともとは全国的にも有名な、栃木県のココ・ファームで活躍されて、
 独立して北海道を選ばれたわけですよね。
 ブルースさんが北海道に来られた理由というのは?

この土地のワインは、すごくおいしいと思って、
自分でワインを造るなら、北海道だと思いました。

-もともとはアメリカでワインを造っておられたんですよね?

そうです。

-たとえばアメリカのシャルドネと、
 日本のシャルドネはまったく違う味がしますよね。

そのとおりです。

-ワインをもともと昔から好きな人というのは、海外のワインを飲まれながら、
 日本のワインを楽しむようになる。
 そうすると、海外でできたワインと味が異なりますよね。
 そうすると、海外のワインと違うからダメっていう人が結構、多いんですよね。
 悲しいことに。そこで僕がお伺いしたいのは、
 北海道、あるいは日本のワインならではの魅力というのは、
 どこにあるのかなと思いまして。他の国とは違う魅力を教えてください。

確かにおっしゃったとおり、好みの話になるんですが、
原料を実際に手に入れて見てみると、非常にポテンシャルは高いと思って。
日本全体のワイン産業でもいえることですが、
その中でも北海道、特に空知がまだ歴史が浅い、若い産地ですから、
ポテンシャルを100%発揮できているかというと、まだまだ。
ただ、原料のポテンシャルを見ると、空知の可能性を深く感じる。
おっしゃった通り、栽培した産地によってブドウの味が変わり、
そこからできるワインの味も変わる。
だから空知のシャルドネ、長野のシャルドネ、カリフォルニアのシャルドネ、
そしてブルゴーニュのシャルドネそれぞれ味が違う。
その中でも空知のブドウ品種はどれも、旨みがかなり乗っていて、
酸がきれいに残るものができるというのが、自分にとっては魅力で、
もっと深く知りたいと思うようになりました。

-アメリカワインですと200年ほどの歴史があり、
 ヨーロッパでは2000年ほどの歴史がある。
 そんな中で空知は、最長の鶴沼ワイナリーで42年。
 そういった年数の違いはあるんでしょうか。
 あるいは代替わりによる味わいの変化も生まれるのでしょうか?

そうですね。成木になると味も変わってくる。
根がさらに深く張ると、木の生育やぶどうの味も変わり、
それらによってワインの味が変わってくる。
それは時間に任せるしかなくて、まだまだこれからですね。

-北海道は、まだ十分な時間が経っていない。
 ただし、若いながら、ブドウのポテンシャルは強く感じられると。
 だからこそ、これから先の未来、どんどん良いブドウができるようになる。
 そして名だたるワイン産地として確立していくスタート地点に立っている、
 そう思って良いでしょうかね。

はい。今、ここにいらっしゃるワイナリーの皆さんは、
すべて「開拓者」だと思います。

-そんな中で、その「開拓者」たち、
 ブドウを作っている方たちのワインを醸造して頂いているわけですね。
 本当にブルースさんが来てくれて、頼りになりますね。
 励みにもなり、勉強にもなります。本当にありがとうございます。
 ブルースさんのワインってなかなか飲めることがないのですが、
 今、2013年のブドウでのワインを醸造中だと思うのですが、
 出荷はいつごろになりそうでしょうか?

そうですね。今月の終わりには白1種類を発売したいと思います。
瓶詰をしてあるんですが、まだラベル貼りが済んでいない。
いい天気が続くと畑に行ってしまうので、ラベル貼りができない(笑)
ちょっとでも雨が降れば、ラベル貼り済ませて発売する予定です。
あと年末では赤と白の限定ものも出す予定です。

-どのくらいの本数での出荷になりますか?

今月出すのは、数千本の単位になると思います。
岩見沢や札幌の酒屋さんにも卸せると思います。
年末の限定ものは100本くらい…。

-ひゃ、100本ですか!

お役にたてなくて申し訳ない(笑)

-いやいや(笑)
 ものすごくレアですが…でもみなさん発売時期はわかったわけですから、
 確率は上がりますよね。だいたいいつごろ発売になるかはまだ?

たぶん、12月だと思います。

-発売日の発表は、どのように?

うちのWebサイトでの発表になります。

-では日々、チェックしていただくということで。
 販売もWeb上で行われる形ですか?

 それしかできないと思います。
 その限定ものは酒屋、飲食店には流通しないですね。

-秋発売のものは酒販店でも購入可能ということで。
 ブルースさんのワインは、同じ余市産のブドウを作っても、
 できるワインが全く違う味わいの2種類なんですよ。
 で、ブルースさんに、どのような違いを捉えて、
 醸造を変えられたのか、と聞くと、
 「ブドウに聞いた」とおっしゃっていましたよね。

ワインづくりは色々な製法があるのですが、
自分が好むスタイルは「ワインは農産物」として作る。
ちょっとした加工品だと思っています。
醸造の場面では、そんなに手を加えずに、
素直にブドウをワインにすることを目指しています。
日本酒やビールに比べて、ワインは原料が少ない。
場合によってはブドウのみ。
その他の添加物が全く何も入っていないこともある。
うちのワイナリーでは長持ちできるように、
若干、亜硫酸塩を少し使っていますが。
できるだけ良いブドウを見つけて、本当に美味しいブドウが手に入ったら、
醸造では手を加えずに、ただ素直にブドウがワインになる、
あのプロセスの立会人、管理人をさせてもらって、
そして無濾過のものを瓶詰して出すというのが、
自分の一番好きなスタイルです。

-本当にブルースさんのワインは凝縮感というか、
 果実味が豊かで、自然な味わい。
 それでいてワインとして凛とした強さも持っています。
 秋に出荷されるものも、ぜひ手に入れてみてください。
 数千本ですね?

二千数百本でしょうね。

-加えて「KONDO ヴィンヤード」や「ナカザワワイナリー」のワインも、
 10Rで醸造されているんですよね。

そうですね。一応、免許によると私は「醸造責任者」なんですが、
できるだけ、その農家さんが自分で造ってもらっています。
私は洗い物とかをさせてもらっています(笑)
何かを洗ったりとか、片づけたりとかは私がやりますが、
重要なポイントは、みなさんが自分で押さえてやってもらいます。
そうすると、より「KONDO ヴィンヤード」のワインになり、
「ナカザワ ワイナリー」のワインになっていくと思います。

-こうやって、空知のワインのクオリティーをグッと上げてくれている
 ブルースさんでした。この後もブースにいらっしゃいますから、
 ぜひみなさん、話を聞きに行ってみてください。

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