これまでのまとめ~栗澤ワインズ・ナカザワヴィンヤード~

現在は「栗澤ワインズ」になっている、
ナカザワヴィンヤードのまとめシリーズ。
10R時代からの個性は変わらないので、
近藤ヴィンヤードとは別投稿としてまとめます。

はじめに

まずは、ワイナリーのまとめ。


いくつかの雑誌から抜粋。
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醸造開始:2002年。
栽培面積:2.7ha。(総面積は4.6ha。)
栽培品種:ケルナー、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ、
       ピノ・ノワールなど

オーナーは中澤一行さん。東京生まれで、関東での生活が長い。
もともとはエンジニアをされていたのだが、
1996年に勤務していた関東の大手電機メーカーを退職し、
北海道ワイン株式会社に転職。

北海道との縁は大学生4年生の、24歳の時。
友人に連れられた旅行で初めて来て、
「ここは日本じゃないぞ」と思うようになったのがきっかけ。
それから「いつか住んでみたいな」と考えるようになったとのこと。
北海道で農業をやりたいというのが希望だった。
(*つまり、ワイン造りを目指していたわけではなかった)

しかし当時、新規就農というのはあまり一般的ではなかったので、
もしかしたらワイン会社に葡萄を育てる仕事があるんじゃないか、
と探していたのがきっかけで、「北海道ワイン」に転職。
三笠市の農場で働き始める。
北海道ワインで栽培担当になって、葡萄を育てていたが、
「このブドウであれば、もっとおいしいワインが作れるんじゃないか」
という思いがあり、好きなようにやるためには、
独立してやるしかないかな、と思い立ち、
2002年に奥さんの由紀子さんと岩見沢市栗沢で葡萄畑を拓く。
2005年に独立。本格的に自身のブドウ栽培を開始。

白ワイン

クリサワ・ブラン

クリサワ・ブラン2010

2019年2月試飲。

今回のラインナップで最も古いヴィンテージ。
クラサワブランは、ゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、
ピノ・ノワール、ケルナー、他少量品種でできている。
それが熟成の丸みを得て、こなれた感じが出てきている。

新しいヴィンテージのシャープさが印象的だが、
もしかしたらこれくらいの柔らかさが本来の姿なのかも。
そう考えると、10年近く置いても良いワインかも。

僕も息子のバースヴィンテージの2017は、
20年置いて一緒に飲みたいが、劣化せずにもつかな?
なかなかレアなワインの垂直。そして素晴らしい料理たち。
誘ってくれた主催者の方やシェフに感謝です!

クリサワ・ブラン2011

2019年2月のワイン会にて。

2011は酸が丸くなってきていて、ほの甘い。
ゆったり深い印象で、
新しいヴィンテージのクリサワブランとは、
また違う顔を見せてくれる。
アップルティーっぽさが出ている。
熟成による素晴らしい変化。

また、これに合わせてメイン料理が登場。

自家製のソーセージを使ったポトフのような料理。
アルザスのシュークルートを添えて。

クリサワブランはボトルが示す通り、
アルザスへの志向があると思う。
味わいは「まさにアルザス」という雰囲気ではないが、
やはり品種の選択も含めて、そういうイメージがある。

中澤さん自身も、「このボトルの形状を広めたい」とも。
寒冷地、北海道に似合うボトルだもんな。
ま、酒屋さんは「背の高いボトルは困るなー」と、
かなり現実的な話もされてましたけどね笑
この辺りまで来ると、みんな結構酔ってましたー笑

クリサワ・ブラン2012

2014年に試飲。

複雑さはNO.1。コクと香りが強い。
アタックもあるが、エレガントさが際立つ。
充分に単品で成り立つ。
香りの高いオリーブオイルとかと合いそう。
トロピカルな雰囲気も感じる。
似た味わいは、南アフリカのシュナン・ブラン。
それよりも洗練されていてハイソ。
やはり、北海道の白の最高峰は、世界でも通用する!

2015年に試飲。

これまた2013とは全く違う趣きで、おもしろい!
 2013よりパワーを感じる分、繊細さは薄い。
芯があって主張が強く、合わせるものや飲み手を選びそう。
頑固でまっすぐな分、分かりやすいところがある。
 もちろん、圧倒的なレベルの高さだけど、
 12と13を比べるならば、僕は13の方が好き。
複雑で奥行きが出てくるのが13ですね。
ワイナリーも人間やワインと同じように、
年と共に成熟していくものなんでしょうね。
すごく面白い!

2019年2月のワイン会。

クリサワブラン垂直会。
2017〜2013、そしてケルナー、ロゼを飲み、
いよいよ2012年です。
2006年からこの年までは、
クリサワブランは栃木のココファームでの醸造。

クリサワブランって、ピークアウトしてしまったものは飲んだことがない。酸もしっかりしていて、長熟の印象がある。
本当にそうか質問したところ、「このヴィンテージだけは心配している」と。他のヴィンテージは(この2012年よりも前の年の作品でも)、まだまだ進化するとのこと。ただし2012だけは、そろそろ飲んだ方が良いらしい。

確かに、飲んだ印象としても、
ピークのスタートくらいの雰囲気がある。
他のヴィンテージに比べれば、やや香りが平坦で粘性が高い。
やや余分な苦味があって、香りも落ちているかも。

とはいえ、まだまだクリサワブランとしての魅力は輝いてますよ。
あくまで、同じクリサワブランで比べた場合、
ということですね。
まだ泡もあるし(!)、
ここから意外に長いかも知れませんけどね。

今回のこの垂直会の主催者さんは、
もう1回できるコレクションをお持ちで、
また2年後くらいにやるかーとのこと。
ひえー笑すごい人は凄いもんだ…笑

クリサワ・ブラン2013

色は美しい金色。
前回はグラスも小さかったので印象に残らなかったが、
大きなグラスで味わうと、香りの豊かさと色合いの美しさは、
本当に伝説的なこのワインの特長ともいえる。
テイスティングしても、香りだけで当てられそう。

北海道のワインに多く見られる鋭い酸は感じられない。
丸みがあって、トロピカルフルーツと林檎のアロマ。
奥さんも初めて味わっていましたが、女性にも受け入れられやすい。

そして1本すべてを楽しむと、やはりグラス一杯のテイスティングと違い、
その変化や料理との相性まで楽しめるところが魅力ですね。
北海道の野菜や鶏肉との相性もバッチリ。
そしてそのまま、食後のデザートワインとして引っ張ってもOK。

ドラマを見ながら、温度が上がって香りがさらに増したグラスを傾けて、
チビチビ行くと、そのまろやかさにうっとりとする。
1本で様々なシチュエーションが楽しめる。
感動的な白。

2019年2月。

クリサワブラン垂直会。
2017〜2014まで終えて、次は2013年。

この年から10Rワイナリーでの醸造。
そのため、エチケットも変化している。
ココファーム・ワイナリーのロゴが消えてる。
マークも少し変化。

六芒星を使うと「イスラエルとの関係は?」とか聞かれるので笑、
雪の結晶のようなマークにしたとのこと。
ちなみに六芒星は天と地を意味していて、
それがぶどう栽培の基本という意識から。
この2013年という年は、それまでと醸造所は変わるが、
担当のブルースさんは変わらないし、
なるべく同じ造り、同じ味わいを目指したとのこと。

しかし、実際にはその気持ちとは裏腹に、
酸膜酵母によって酸化のニュアンスが出たとか。
樽のチェックを頻繁にし過ぎて、
空気に触れさせ過ぎたことが要因とか。
ワインに任せておく、というのも大事なんですね。

しかし、その後の熟成によって、
酸化のニュアンスは気にならなくなり、
むしろ平年より複雑さは増したとのこと。
わずかにカラメル感もあり、果実味が突出しない複雑さ。
僕の中では本日のクリサワブランの中で、コイツがベストです。一番気に入ったな。

中澤さんとしても、発売当初の心配が杞憂に終わり、
ホッとしたヴィンテージとのこと。
うーん。何がプラスになるか分からない世界。
ま、そこもまたワインの魅力ですよね。

クリサワ・ブラン2014

もしかしたら、2014は北海道全体として、かなり良いヴィンテージかも。
でも、お手伝いをしていた感想的には、
暑さも厳しく、なかなか大変な気候だったのでは?という感じだったが。
でも、全体にワインは美味しい。嬉しいかぎり。

今年のクリサワブランは力強い!
そしていつものトロピカルな香り。複雑性。
ん~、やっぱりコレ、好きだわ。
白の中では、世界のワインと比べても、これが一番好き。
毎年、飲むたびに進化が感じられて、
でも変わっていない部分もあって。
だから毎年、買ってしまうんだろうな~。

2017年。

テイストはタプコプと似ているんだけど、
僕が抱く印象は全然違う。

タプコプの魅力は陽であり、動。
元気で朗らか、社交的な味わい。
変化であり、分かりやすさ。
そこがいいなと思う。

一方、クリサワブランは落ち着きであり、渋さ。
この仄かな苦味はピノグリのなせる業だろうか。
かといって、とっつきにくさはない。
ゲヴェルツの甘味もほんの少しだけどしっかり主張して、
それが良い相性なのかもしれないな。
複雑で、深遠。ゆったりとしている。
流れていることに気づかない大河のような静の魅力。

こういう華やかな場ではタプコプの方が美味しく感じる。
でも、家でゆったりと奥さんと飲むならクリサワブラン。
そんな感じ。

ああ、ゆったりとコイツと向き合いたくなった。
開けるか?家のクリサワブラン?
いや、しかし…やっぱり販売本数は少なく…苦笑
懊悩を生むワインだな。
だからこそ人は(僕は)、ハマるんだろうなぁ。

11月。バードウォッチング2周年の5本め。

サプライズのクリサワブラン。
後ろに生産者の影を見ながら飲むなんて機会は、
そうそうはないよな。

芸能人やスポーツ選手に会った気分ですよ。僕にとっては。

声を聴きながら、グラスを傾ける。
うん、こんな幸せはそうそうないさ。

そしてクリサワブランそのものも、
結婚記念日に飲んだときとは違う顔を見せてくれている。
わずかにベッコウアメのような、濃厚香りがする。
こちらに媚びるような香りではないが、
ふんわりと自らの中から香ってくるような…
うまく言えないが、ほぼ1年経って、円熟を果たしている。

1年1年、自分も熟していきたい。
良い時を過ごしていこう。

2019年2月。

クリサワブラン垂直会4本目。
2017〜2015を遡り、次は2014。

2014年は中澤さん曰く「最も恵まれた年」。
2015と甲乙付けがたい厚みがありつつも、
酸もしっかりあってバランスが良い。
豊作の年だけあって、力強く骨格がハッキリしている。
パワーがあるヴィンテージなので、
熟成感はまだまだ出ていない印象。
長熟を予感させる。

合わせたのはサーモン。

生だと果実味豊かな白と合わせると、
どうしても生臭さを感じてしまうことが多い。
そのためか、41度で火入れしてある。
サーモンが固まらないギリギリのライン。
生のような食感で脂を感じる。
しかし生臭さは全くない。
キレイな酸で脂が流されて心地よい。

そして今回は洋梨が添えてある。
これはもちろんクリサワブランの中にあるアロマ。
うーん、このペアリングも最高だわ。。。

クリサワ・ブラン2015

2017年5月試飲。

ナカザワ・ヴィンヤードのクリサワブラン2015。
北海道の白の最高峰。
伝説となっているワインです。

思ったよりも、ずっときれいな酸が残っている。
なんてクリアで、なんてキレイなワインなんだ。

僕の中で、このワインは孤高の1本。
造り手の「ナカザワ・ヴィンヤード」の中澤さんを表すかのような1本。
このワインがあったから、空知エリアの産地形成があった、
と言ってしまっても良いのではないか。

野菜の味そのままのマッシュポテトとの相性が抜群。
もっと先まで、まだまだ美味しくなっていくのではないか。
そんな期待感も持たせてくれる。

複雑な香りは、飲みこむ瞬間から上がってくる。
鼻だけではなく、口や喉で香りを楽しみたい1本。
至福の時。

2019年2月。

クリサワブラン垂直会3本目。
2017→2016と来て、順番通り2015です。

前の2つのヴィンテージと比べて、
熟成由来かカリンの雰囲気が出てくる。
リンゴの蜜の味わいも強い。
3つの中では最も厚みがあって、果実感を強く感じる。

個人的にはこういうリッチな白は好きだが、
造り手である中澤さんとしては、
もう少しシャープなものが理想とのこと。
ピノ・ノワールの比率が高すぎたか、
クリサワブランの中で最も厚みがあるとの評。

3つのヴィンテージを比べただけでも、
違いがはっきり分かって面白い。
もちろん、クリサワブランとしての個性は失わず、
それでいて熟成の年数や造り、
ブドウのセパージュで雰囲気が変わる。
ワインというのは、本当に面白いな。

次は2019年10月に抜栓。

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お義母さんの作っておいてくれた料理をいただきつつ、
とっておきのクリサワブランを抜栓。
料理にポテトグラタンや鮭があったので。
この2つにクリサワブランはとても良く合うんだ。
狙い通り、奥さんはワインも大絶賛。
元来、クリサワブランは奥さんの大好きな銘柄だが、
それにしたって「美味しい!」を連呼して、
食事後のドラマ視聴タイムにもグラスを持って行っていた。
(日常のルーティンでは、ここではコーヒーになっている)

リリース直後にわずかに感じられる酸のとがりもなくなり、
豊潤さとコクが増し、果実味の凝縮感はこれ以上ないほど。
栗沢の土地に10Rやkondoヴィンヤードなどワインの造り手が集まり、
余市を向こうに回して、2大産地となりつつあるのは、
この1本の白ワインから始まったという。
そのことが良くわかる。
間違いなく、北海道で最強の白ワインです。
これを飲まずして、北海道のワインを語ることなかれ。

クリサワ・ブラン2016

2018年3月試飲。

うーん、やはりこれは魂に刻み込まれている味わい、香り。
今日会えたので、また次に会えるまで我慢できそうだ。
アロマティックで、やや甘口のニュアンスなんだけど、
これは絶対に誰もが好きになる味だわ。
そんな落ちついた美女感がある。

いや~、完璧なワインってあるもんだな。
しばし、恍惚…(笑)

2018年7月、北海道ワインアカデミーにて試飲。

クリサワブランです。
北海道の白ワインの最高傑作と言っても良いと思ってます。

それをプレス機の前で飲むという幸せ。
心なしかグラスを持つ手にも力が入っているような…(笑)

ややイエローのかかったクリアな色合い。
かすかに発酵を続けているのか、グラスの底には小さな泡。

香りも味わいも、饒舌にして複雑。
様々な要素がにぎやかに通り過ぎていく。
そして尾を引くような余韻。
うーん、やはり大好きだわ。

最近、このクリサワブランに
ゲヴェルツ的なテイストを強く感じるようになった気がする。
ヴィンテージの問題なのか、僕の舌の問題なのか。

近藤さんが「頭が下がる」というほど、
化学的な防除を行わない中澤さん。
これからも1本芯の通った普遍性と、
より高みを目指すマイナーチェンジを見せてくれると思う。

「いつもそばに置いておきたいワイン」というよりは、
「ずっとそばにいたいワイン」。
飲み手に媚びないがゆえに、こちらから追いかけたくなる。
そんな1本です。

2019年2月。

垂直会の2本目。17に続いて2016です。

2017との違いは醸造所が違うこと。
2016までは10R、2017からは栗澤ワインズです。
その前は栃木のココファームでの醸造なので、
同じ名前のワインが年によって3ヶ所で造られている、
というのも割と珍しいことですよね。

この2016は収量が少なく、全てのブドウがクリサワブランに。
大きな違いはピノ・ノワールの比率。
他のキュヴェがないので、自然、
このクリサワブランのピノ比率が上がる。
そのせいか、2017よりもボリューム、厚さのある、
リッチな味わいに仕上がっている。

そして冷涼な気候だった2016は、2017よりも酸は高い。
それがヴィンテージよりもフレッシュに感じさせる。
これもミネラルを感じるので、
海苔バターを塗ったバゲットと相性が良い。
うーん、幸せなひと時…。

2020年4月抜栓。

今日は悲しい出来事があったので、
とっておきのクリサワブラン。

嬉しいことがった日も、つらいことがあった日も、
つい手に取ってしまうのはこいつなんだ。
嬉しい日に開けると、
これほど甘やかで豊潤なワインはないと思う。
今日は、少し酸が手厳しいな、と思う。
ほんと、ワインは気分によってもその顔を変える。
甘さも酸も、どちらもクリサワブランの一面であり、
いずれもがその美しさを構成している要素である。
きっと、人生もそうなんだろう。
今日の出来事が、未来の笑顔につながるように。
できることは、精一杯生きることだけなんだろう。
クリサワブランの芯の強さが、僕を癒していく。
ひとつの人生のようなワインです。

クリサワ・ブラン2017

故あって、抜栓から1日経ってからの試飲です。
品種はゲヴェルツ40%、ピノグリ19%、ケルナー14%、
ピノ・ノワール10%、シルヴァネール6%、他11%とワインリストにある。

今回が初の栗澤ワインズでの醸造です。

1日経っていることもあってか、
イメージしたようなクリアでスッキリという印象よりも、
深く、コクのある味わい。
カリンのようなテイスト、深みが備わっている。

クリサワブランの次の日の状態を試飲したの、初めてだ。
(開けたら確実に飲み切ってしまうから笑)

とても良い変化だと思うが、
息子のバースヴィンテーテージの2017は、
成人する2037年に開けようと思っていたけど、
この感じではちょっともたないかもしれないな…。

空気に触れた状態の1日の変化で、
経年変化を読むのは難しいが、
足は割と速そうな気も。。。

さてどうしようか。
悩ましい問題です。

2019年2月。

クリサワブラン垂直会。
迷うところではあるが、
やはり新しいヴィンテージから遡ろうということに。

他のヴィンテージと比べると、
やや濁りが入っていることが分かる。
中澤さんとしては濁りは入れたくないとのこと。
キレイな見た目でも複雑さは出せる、
という言葉はさすがだな。

とは言え事実上のノンフィルターで、
亜硫酸もほとんど使わないので、
濁りを取るには沈澱を待つしかない。
しかしこの年は郵送料金が上がる年で、
送料は買う人負担なので申し訳なくて…とのこと。

それでもかなりキレイですけどね。
最近はナチュラルな造りのワインを飲むことが多いので、
このくらいのは全然ですね笑

味わいは伸びやかな酸を始めに感じる。
ピノ・ノワールはロゼになっているので、
クリサワブランの中のピノ比率は下がっている。
それがシャープな印象を作っているのか。

合わせたのはカキ。
僅かに火が入っているが、食感はトロトロ。
海水の塩分濃度と同じジュレをまとっている。
上に乗ったピンクペッパーは、
クリサワブランのゲヴュルツのスパイシーさに合わせて。

ジュレの海水の雰囲気も、
クリサワブランの中にあるミネラリーさと、
本当にマッチしている。
今回の料理は全て、
合わせるワインを意識して工夫が凝らされている。
なんとも素敵な配慮で、感動でしたね。

2019年月にもワイン・ヘリテージで飲んでいます。

栗澤ワインズを構成する3生産者のうちのひとつ。
ナカザワ・ヴィンヤードの作品。
クリサワブランは北海道の白のすごさを痛感させてくれたワイン。
こういう場で出会えるのはほんとうにうれしいことです。

今回は料理と合わせられたことも良い経験になった。
合わせたのはホッキ貝のシャブシャブ。
ホッキとワカメを軽くお湯にくぐらせてくれる。
それをポン酢につけて食べる。
この歯ごたえを感じないほどのホッキの柔らかさと甘み。
そしてワカメの旨みまでひっくるめて、
まだ若いクリサワブランの酸を丸めてくれる。
ちょっとツンとしたところをうまくいなして、
それをすべて魅力に換えてくれる。

クリサワブランは熟成した後が真骨頂だと思っていたが、
料理と合わせて若いヴィンテージを飲むというのも、
また違った魅力があって良いな。
素晴らしい出会いに感謝ですね。

クリサワ・ケルナー

クリサワ・ケルナー2012

2015年に試飲の感想は以下。

僕の好きなナカザワ・ヴィンヤードのケルナー。

ケルナーから、クリアなものが作れる、
そういうワイナリーも最近は増えてきているようです。

ナカザワさんの単一品種というのも面白く、
結構、楽しんで飲むことができました!

2017年試飲の感想は以下。

テイスティングコメントは以下。

「キレイな色合い。酸ははっきりと残っている。
 透明感があってクリア。」

これ、ブラインドで飲んだ時は、まったく気づかなかった。
みなさんの評価では全体で2位の高得点だったが、
僕は完全にノーマークでした。
まだまだですね。

銘柄が分かってから、再度飲ませてもらいましたが、
時間が経ったからか、銘柄を知ったせいか、
最初の時に印象に残ったような酸は感じず、
とても落ち着いた印象に変わっていました。

クリサワ・ケルナー2014

アルコール度は12.5%。

2019年2月のワイン会にて。

2017〜2013まで飲んだところで、
一息ついてクリサワケルナーへ。
いや確かに、いくらなんでも、同じワインを飲み続けると、
違いが分からなくなってくる笑

2014年は全体の収量増に加えて、ケルナーが豊作で生まれたキュベ。
2018年も開花期の雨で花振るいに悩まされる年だったが、
このケルナーだけはダメージなし。
(全体の収量減もあって、クリサワブランでは初の、
ケルナー比率が最も高い作品になるらしい)
そういう意味でも、ケルナーって興味深い品種だな。

さて味わい。
見た目にもわずかに泡が浮かぶ。
なんと言っても香りが素晴らしい。
青リンゴ、桃などのうっとりする香り。
酸もキレイで、舌の上で踊るようだ。これは陶酔の1本。

合わせたのはツブ貝。
米粉でソテーされたものが、濃厚なスープと共に出された。
エスカルゴにするような料理。
フレンチとは思えない、ダシの効いた料理。
「やはり和食に合うワインなので」とシェフ。

たしかにクリサワブランにも
クリサワケルナーにもマッチしていた。
水面で溶ける淡雪のようなトッピングも美しい。
冬の終わりを思わせる美しい料理。
さすがです。

赤ワイン

クリサワ・ルージュ

ロゼワイン

クリサワ・ロゼ

クリサワ・ロゼ2017

アルコール度数は10.5%。

2018年11月試飲。

出会えただけでも奇跡ですね。
おそらく生産本数は300本ほど。

色合いは非常に儚い桜色。酸は強く、シャープ。
少し尖りすぎているくらい。
シャープというよりはトゲトゲ感。舌に残ってしまう。
うーん、聞いてた評価と違うが…
と飲んだことある人に聞いてみると、2回飲んだことあるが、
もっとまろやかだったとのこと。
恐らくボトル状態が良くなかったか。
しかし貴重なワインには違いない。
一期一会に感謝して楽しむ。

2度目はクリサワブランの会で2019年2月試飲。

過去に1度飲んでますが、
その時はボトルコンディションが良くなかった。
改めての出会いです。

結論から言えば、これは最高のロゼだった。
力強さとエレガンスが同居している。
「ロゼは中途半端」と思っていた時期もあったが、
今なら分かる。
ロゼは両立なんだ。
良いとこ取りです。

泡も少しあり、まだまだフレッシュ。
「この年のピノは赤には線が細いが、ロゼなら最適だと感じた」とのこと。
素晴らしい判断。

美しい桃色ですね。
料理はシェフがワインの順番を何度も気にしていた理由、
このロゼのためのクレープ包み。

カニやホタテ、エビが入っている。
ソースはわずかにトマトが効いていて、
それがこのロゼの酸味とマッチしている。
うーん、いつまでもここに居たくなる味だ…。

インタビュー収録

またしても最後は「そらちワインピクニック」のインタビューを。

-中澤さんは北海道出身の方ではないですよね。

生まれは東京です。関東に住んでいたことが長いです。

-ということは、北海道にもいらっしゃったことが?

北海道には、しょっちゅう遊びに来ていました。

-それで、農業とはあまり関係のない仕事をされていた?

そうですね。サラリーマンをしていましたので、農業とはまったく縁のない、
まさに、「畑違い」の仕事をしていました。

-なぜ、北海道に?

旅行で初めて来たときに、何の前知識もなく、ガイドブックも見ずに、
友達に連れてこられたんですが、それが良かったのか悪かったのか、
最初に来た北海道の印象が強烈で。
「ここは日本じゃないぞ」と思うようになってですね、
それから「いつか住んでみたいな」と考えるようになりました。
大学4年生ですね。4年生ですが24歳の時です。

-自由な時間をたくさん過ごされた(笑)

そういうことですね(笑)

-そして脱サラをして来られたということですか?

いえ。「北海道ワイン」さんに拾っていただいたので、転職です。

-北海道に来たかったから?

せっかく北海道に来たなら太陽の下で働きたいと思って、
「だったら農業だろう」と思ったんですが、
当時、新規就農というのはあまり一般的ではなくて、
どうやったら農業を始められるかな、と考えていた時に、
もしかしたらワイン会社に葡萄を育てる仕事があるんじゃないかと気づいて、
それからはトントン拍子に北海道ワインさんに拾っていただいた、と。
それで北海道に来れました。

-最初は農業というくくりで、葡萄ということではなかった?

ワインが作りたくて、葡萄が作りたくて北海道に来たというわけではないです。

-近藤さんもそうおっしゃっていましたが、
 農業がキーワードで、ブドウではなかった。

結果的に、ここに立っています(笑)

-すごいですね。結果、葡萄になっていますが、
 結果、なかなか手に入らないレアな、
 高品質なワインのブドウ栽培家になっていますけど。
 それはどういうところから、こういう道になったのでしょうか?

北海道ワインで栽培担当になって、葡萄を育てていたんですが、
「このブドウであれば、もっとおいしいワインが作れるんじゃないか」
と思ったのですが、北海道ワインは大きな会社ですから、
なかなか自分一人でそこまでできなかったものですから、
であれば独立してやるしかないかな、と思って初めてしまったんです。

-すごいですね。
 今、どれくらいの畑の広さがあるんですか?

2.7haです。北海道としては小さいです。

-小さいですし、そしてまたしっかりと栽培されていますが
 北海道というのは反収があまり多くないですから、
 それだとかなり収量が少なくなりませんか?

ただでさえ少ない収量なんですが、
うちの場合、科学肥料をやらなかったりするので、
一層、少なくなっていて、今それが原因で経営が苦しくて。
結果、ワインの値段が高くなってしまって、
みなさんにご迷惑をかけていますが。

-普通のワイナリーだと、ブドウの樹とブドウの樹の間を走れるものですけど、
 中澤さんのところはそうはいかないですね。他の草の丈も高いから。

そうですか?私は走れますよ(笑)

-中澤さんは走れるかもしれませんけど、僕は走れない(笑)
 他の畑に比べると虫も多いですね。

そうですね。いろんな虫、
まぁ虫に限らず生き物がたくさん畑の中にいて欲しいと思っていて、
そのためにできるだけ草を生やしたままにしているんですが、
そうすると池田さんのおっしゃるように「走れない」と言われる畑になってます。

-自然にすればするほど、収量も落ちていくということですか?

単純にそうではないと思うんですが、一部、収量を犠牲にしながらも、
いろんな生き物と共存していければな、と思っています。

-本当に素晴らしいです。
 他のワイナリーは葡萄品種をワイン名前に付けていることが多いですが、
 中澤さんのところは違いますよね。

去年はケルナー単独も造ったんですが、
基本的にうちに植わっている葡萄すべてを使ったワインを1種類、
白ワインですが、それを作るようにしています。

-これはやはり収量の問題ですか?

最初は収量の問題だったんです。
最初は収量が少なくて、「全部混ぜるしかない」ということで始まったんですが、
今は「混ぜた方が美味しい」ということで積極的にブレンドしています。
「混醸」という造り方ですが、それでワインを造っています。

-たとえばボルドーでも、メルローとカベルネ・ソーヴィニョンとか、
 複数のブドウ品種がアッセンブラージュされています。
 ただ、これはそれぞれのブドウ品種を単独で醸造・熟成したものを、
 ワインが完成した後にブレンドしてひとつの商品を造ります。 
 一方、中澤さんのところはすべて一緒に発酵させるということですよね。

そうです。アッセンブラージュではなく、葡萄の段階から混ぜるということです。

-それを一緒に発酵させるということですね。
 混ぜて醸造するということですよね。
 これはスイスとかオーストラリアで見られる手法ですよね。

そうですね。オーストリアで昔からやっています。
ヨーロッパでも昔からそういう造りだったはずです。
いつからか品種ごとに作るようになったんで、
昔はどこも混醸だったと思うんですが、
今でもオーストリアなどでは残っているということです。

-ですから風味が豊かで、ブドウの個性がそれぞれにうまく表現されていて、
 それがワインのおもしろさ、楽しさにつながる。それが混醸の魅力ですよね。

そうですね。

-先ほど2013年を味見させていただきましたが、非常に豊か。
 2012年というのはシャープというか、スパッと芯が太い印象。
 一方で2013年は豊かでしたが、どういう違いが?

まず醸造する場所が違いますね。
2012年までは栃木県で作っていたものが、2013年からは旧・栗沢町で。

-2012年まではブルースさんのいた、栃木県のココ・ファームで。
 2013年からは10Rでブルースさんのところで醸造ですね。
 そして先ほどもブルースさんがおっしゃっていましたが、
 中澤さん自身の醸造というところが大きな違いかもしれませんね。

それもありますが、1番大きかったのは気候の違いです。
2012年は9月がすごく暑くてブドウの調子が正直悪くなった。
2013年、そして今年は逆に、しっかり夜温が下がってくれて、
涼しい、北海道らしい秋になってくれました。
これがよくてブドウにしっかり酸が残りました。
酸が残ったブドウは収穫を待つことができて、
去年は本当にいいブドウが収穫することができました。
それがワインの厚み、豊かさにつながりました。

-実際の発売日はまだですよね。

そうですね。本日は先行販売です。

-本当にふくよかでおいしいですよね。

ありがとうございます。

-販売は9月23日からですね。

はい。自宅の方で。
札幌市内にも少しだけで回りますから、探していただければ。

-毎日やっていらっしゃるわけではないですよね?

23日で完売すると思います。

-KONDOヴィンヤードと両方寄ればいいわけですね。
 これは2人で示し合わせてそうされているんですか?

せっかくなので同じ日に販売した方が、
1度来ていただけるだけで大丈夫ですから。
それほど距離も離れていないので。

-ぜひみなさん立ち寄っていただければと思います。
 クリサワ・ブラン2013は、おいくでしょう。

希望小売価格で、去年より値上がりしてしまって3240円です。
もしかしたらうちの店頭では少し安く提供しているかもしれません。
よろしくお願いします。

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